シンスプリントの原因と治療方法

シンスプリントの原因と治し方

シンスプリントとは別名で脛骨疲労性骨膜炎、脛骨過労性骨膜炎、疲労性脛部痛と呼ばれています。

脛骨(すねの骨)の内側に痛みが生じる状態で、特にランニングやジャンプなどの高強度の運動をする際に発症します。

脛骨周辺の筋肉や骨膜に過度な負担がかかることで炎症が起こり、痛みが生じます。運動時や運動後に脛骨下1/3の部分に痛みが出やすく、進行すると安静時や通常歩行時にも痛みが現れることがあります。

シンスプリントの症状

シンスプリントの初期症状は、運動開始後や終了後に脛骨の内側で感じる鈍い痛みや熱感です。多くの場合、違和感や軽い痛みが予兆となります。これらの症状を放置すると、痛みが強くなり、運動のパフォーマンスが低下することがあります。

症状は主に脛骨の内側下1/3の部位に現れます。痛みの性質は、運動時や運動後の鈍痛から始まり、徐々に鋭い痛みへと変化していきます。患部に触れると痛みが増す場合もあります。

シンスプリントの重症度は症状の程度によって異なります。軽度の場合は運動後に痛みが出る程度ですが、中度になると運動中や日常生活の動作でも痛みが持続することがあります。重度の場合は安静時にも痛みが残り、回復のために2~3ヵ月の休養が必要になることもあります。

この症状の進行を理解することで、早期発見と適切な対処が可能となり、重症化を防ぐことができます。

脛骨疲労骨折との違いは?

シンスプリントと脛骨疲労骨折は似た症状を呈しますが、疲労骨折は骨の亀裂や微細な損傷がある状態です。

シンスプリントは筋肉や骨膜の炎症が原因であり、疲労骨折では骨そのものが損傷しているため、痛みや圧痛がより強く限局的に現れ、持続的になります。疲労骨折では骨の損傷がレントゲン画像で確認出来ます。

シンスプリントを放置して悪化した場合、疲労骨折へとつながっていくイメージです。

その他、下記の症状はシンスプリントと似た症状があらわれます。

症状解説
足底筋膜炎足の裏に痛みがあり、かかとに近い部分が痛むことが多いです。
腓腹筋の肉離れアキレス腱からふくらはぎ周辺の痛みがあり、シンスプリント に似た症状を呈することがあります。
後脛骨筋腱炎内側のくるぶしを動かすことで足首や踵周囲に痛みが出現します。

シンスプリントの原因とは?

シンスプリントは、脛骨周辺の筋肉や骨膜に過度なストレスがかかることで発症する障害です。その主な原因は、繰り返しの衝撃や過度な運動負荷にあります。しかし、これだけでなく、複数の要因が関与しています。

筋力不足や柔軟性の低下は、脛骨周辺の組織にかかる負担を増大させ、シンスプリントのリスクを高めます。また、不適切なランニングフォームも原因の一つとなり得ます。適切なフォームを維持できないことで、特定の部位に過度な負荷がかかり、症状を引き起こす可能性があります。

環境要因も無視できません。硬い地面での運動は衝撃を増大させ、脛骨周辺の組織にストレスを与えます。さらに、適切でないシューズの使用も問題となります。足に合っていないサイズや、十分なクッション性能がないシューズは、衝撃吸収を妨げ、シンスプリントのリスクを高めます。

特定のスポーツに従事する人々は、シンスプリントのリスクが高まる傾向にあります。ランニングや陸上競技は、その代表的な例です。これらの競技では、繰り返しの衝撃が脛骨周辺にかかるため、症状が発生しやすくなります。バスケットボールやサッカーなど、ランニングやジャンプ動作が頻繁に行われるスポーツも同様にリスクが高いとされています。

シンスプリントになりやすい方

シンスプリントは、特定の属性や生活習慣を持つ人々により発症しやすい傾向があります。性別、年齢、運動経験などの要因がリスクに大きく影響することが知られています。

性別に関しては、女性の方が男性よりもシンスプリントになりやすいことが明らかになっています。研究によると、女性は男性と比較して1.5倍から3倍も高いリスクを抱えているとされています。この差異の正確な原因は完全には解明されていませんが、ホルモンバランスや骨密度の違いなどが関係している可能性があります。

年齢も重要な要因の一つです。特に成長期にある12歳から16歳の学生は、シンスプリントの好発年齢とされています。この時期は急激な身体の成長と活発な運動活動が重なることが多く、骨や筋肉への負荷が増大しやすいためと考えられます。

また、運動経験もリスクに大きく関わっています。特に、最近運動を始めた初心者ランナーはシンスプリントのリスクが高いことが知られています。これは、急激な運動量の増加や適切なフォームが身についていないことが原因と考えられます。

体が新しい運動負荷に適応する前に過度の負担がかかることで、シンスプリントが発症しやすくなるのです。

シンスプリントのセルフチェック

シンスプリントは、その特徴的な症状から、ある程度自己診断が可能です。ただし、正確な診断と適切な治療のためには、最終的に医療専門家の診察を受けることが重要です。以下に、自分でシンスプリントの可能性をチェックする方法をご紹介します。

最も簡単で一般的なセルフチェック方法は、脛骨の内側に沿って指で押さえてみることです。シンスプリントの場合、この部分に圧痛が生じます。具体的には、脛の内側を上から下へゆっくりと押していき、特に痛みが強くなる箇所がないかを確認します。痛みが局所的に強くなる部分があれば、シンスプリントの可能性が高いと言えます。

また、運動のタイミングと痛みの関係も重要な指標となります。シンスプリントの特徴として、運動開始直後や終了後に脛の痛みが顕著になることが挙げられます。例えば、ランニングを始めてすぐに脛に痛みを感じたり、運動後しばらくしてから痛みが出てきたりする場合、シンスプリントの可能性を考慮する必要があります。

シンスプリントの治し方

当院では、シンスプリントの治療に対して、単に症状を和らげるだけでなく、根本的な原因を追求し、再発防止を目指す包括的なアプローチを採用しています。

初回の診察では、なぜシンスプリントが発症したのかを詳細に分析します。この過程で、患者様の体全体の状態を綿密に確認し、体の歪みや不均衡を特定します。具体的には、足の着き方や体全体のバランスをチェックし、さらに膝関節、股関節、背骨の可動域を精査します。これにより、患者様の現在の体の状態を正確に把握し、個々の症状や体質に合わせたオーダーメイドの治療計画を立案します。

治療は多角的なアプローチで行います。まず、患部の炎症を抑えるためのアイシングを実施します。また、患部をサポートし、過度な負担を軽減するためのテーピング技術も適用します。さらに、超音波治療を用いて深部組織の回復を促進し、手技療法によって筋肉の緊張を緩和し、症状の解決を図っていきます。

治療期間はどれくらい必要ですか?

シンスプリントの治療期間は症状の重さによって異なりますが、発症すぐで初期でしたら2週間から1ヵ月程度が目安となります。

重度の場合、2.3ヶ月かかる場合もあります。

痛みや違和感を感じたら放置せず、早めに治療を受ける事が早期回復のカギとなります。痛みが完全に消えるまでには十分な休養とリハビリが必要です。

治療に保険はつかえますか?

はい。保険適用となります。

ただし、他院で治療を行っている場合は重複となり保険適用外となります。

レントゲン撮影が必要な場合は、当院で協力医療機関をご紹介しますので、一番先にご来院下さい。

シンスプリントの予防法

シンスプリントは適切な予防策を講じることで、その発症リスクを大幅に低減することができます。以下に、効果的な予防法をいくつか詳しく解説します。

まず、運動前後の適切なケアが重要です。運動を始める前には十分なウォーミングアップを行い、体を徐々に運動に適した状態に持っていくことが大切です。同様に、運動後のクールダウンも忘れずに行いましょう。これらの習慣は、筋肉や関節に急激な負荷がかかるのを防ぎ、シンスプリントのリスクを軽減します。

次に、柔軟性の向上が挙げられます。特に足首や股関節周囲の柔軟性を高めることが重要です。これらの部位の柔軟性が向上すると、運動時の衝撃を効率よく吸収し、脛骨周辺への過度な負担を軽減することができます。定期的なストレッチングを日常に取り入れることをお勧めします。

また、体幹筋のトレーニングも有効な予防法の一つです。強い体幹は全身のバランスを整え、適切な姿勢や動作の維持を助けます。これにより、走行時などに脛骨周辺に集中しがちな負荷を分散させることができます。プランクやシットアップなどの体幹トレーニングを定期的に行うことが効果的です。

さらに、適切なシューズの選択も重要な予防策です。自分の足のタイプや運動の種類に合ったシューズを使用することで、衝撃を効果的に吸収し、足への負担を軽減することができます。専門店でフィッティングを受けることをお勧めします。

最後に、足の着き方の修正も大切な予防法です。不適切な着地の仕方は、脛骨周辺に過度な負荷をかける原因となります。専門家のアドバイスを受けながら、正しい着地の仕方を身につけることで、シンスプリントのリスクを大幅に減らすことができます。