平泳ぎ膝の原因と治し方

平泳ぎ膝とは、平泳ぎのキック動作によって膝に痛みや不快感が生じる状態を指します。

この痛みは主に平泳ぎを頻繁に行う選手や水泳愛好者に見られます。平泳ぎ膝は、膝の内側や前側に過度の負担がかかり、痛みや炎症を引き起こすことが特徴です。

痛みや症状が発生するメカニズム

平泳ぎのキック動作により、膝の内側の靭帯や半月板、筋肉に過度のストレスがかかります。

具体的には、膝の内側の靭帯がストレッチされることで、痛みが生じたり、半月板に圧力がかかって摩擦が起こり、痛みが発生することがあります。また、膝内側に付着している筋肉が炎症を起こし、鵞足炎(がそくえん)として症状が現れることもあります。

痛みの部位と特徴

平泳ぎ膝では、平泳ぎのキック時に膝の内側に特有の痛みを感じることがあります。

日常生活では特に痛みを感じないことが多いですが、水泳中や水泳後に痛みが増す傾向があります。水泳をしていない時には痛みをほとんど感じないことが特徴です。

平泳ぎ膝の原因

平泳ぎ膝は、以下のような原因によって発生します:

平泳ぎのキック動作

平泳ぎのキック動作では、膝を内側に曲げる動作を繰り返します。この動作が膝の内側や前側に強い負担をかけ、膝の靭帯や半月板、筋肉にストレスがかかります。その結果、炎症や損傷が生じることがあります。

膝の過度な回旋

平泳ぎの動作中に膝が過度に回旋することで、膝関節に捻じるような回旋ストレスが加わります。このストレスが半月板に摩擦や圧力をかけ、靭帯には過度の伸張ストレスを与え、痛みを引き起こす原因となります。

不適切な技術

キックのフォームが不適切である場合、無理な筋肉の使い方が膝に過剰な負担をかけ、鵞足炎のような痛みが発生することがあります。正しい技術を習得しないと、膝に不必要なストレスがかかり、症状が悪化する可能性があります。

平泳ぎ膝の症状

平泳ぎ膝に見られる症状は以下の通りです。

痛みが生じる部位

平泳ぎ膝では、膝の内側や前側に痛みが感じられます。特に、平泳ぎのキック動作中やキック後に痛みが強くなることが多いです。

痛みの種類

急性外傷として靭帯や半月板を損傷した場合は、膝の内側に鋭い痛みを感じることがあります。一方、繰り返しの動作によって関節や筋肉を痛めている場合は、長時間泳ぐと痛みが増し、休息することで軽減することが一般的です。

平泳ぎ膝特有の症状

平泳ぎのキック中に膝に引っかかり感やゴリゴリとした感触を感じることがあります。また、膝の内側に腫れや圧痛が見られることもあり、これが平泳ぎ膝の特有の症状です。

平泳ぎ膝のセルフチェック

平泳ぎ膝かどうかを判別するためのセルフチェック方法は以下の通りです。

平泳ぎを行う際の痛み

平泳ぎのキック動作を行うと膝の内側に痛みが生じる場合、平泳ぎ膝の可能性があります。特にこの動作で痛みが増す場合は注意が必要です。

内側側副靭帯へのストレステスト

膝を内側に曲げる動作を行う際に痛みが強くなる場合、内側側副靭帯の損傷が疑われます。このテストで痛みの有無を確認します。

半月板テスト

膝を屈曲した状態で内外旋を行い、関節に痛みが出る、または膝が完全に曲がらない場合は半月板損傷が疑われます。このテストを行って痛みの有無や動きの制限を確認します。

鵞足炎テスト

脛骨上端の内側を押して痛みがある、またはしゃがみ動作で同じ場所に痛みがある場合、鵞足炎が考えられます。このテストで圧痛や痛みの有無をチェックします。

平泳ぎ膝を放置するリスクとは?

平泳ぎ膝を放置すると、以下のようなリスクがあります。

慢性的な痛み

膝の痛みが慢性化し、日常生活にも影響を及ぼすことがあります。特に、運動後や長時間の歩行・立位時に痛みが強くなり、生活の質が低下する可能性があります。

関節の損傷

継続的な負担により、膝の靭帯や半月板にさらなる損傷を引き起こすリスクがあります。これにより、関節の機能がさらに悪化し、治療が難しくなることがあります。

機能障害

膝の可動域が制限されることで、平泳ぎだけでなく、日常生活の動作にも支障をきたす可能性があります。歩行や階段の昇降、しゃがむ動作などが困難になることがあります。

平泳ぎ膝の治し方

当院では平泳ぎ膝に対して、全身のバランスを整えることを重視した治療を行っています。

平泳ぎのキック動作には膝関節単体の動きだけでなく、股関節の可動域や背骨の柔軟性も関与しているため、痛めた膝だけでなく全身の調整を行い、再発を防ぎます。

治療にあたっては、まず膝の状態を詳細に診断し、その結果に基づいて適切な治療プランを策定します。

物理療法としては、冷却療法や温熱療法、超音波療法を使用して炎症や痛みを軽減し、リハビリテーションでは膝周囲の筋力強化や柔軟性向上を図ることで機能回復を促進します。

平泳ぎ膝の予防法

まず、適切なウォーミングアップとクールダウンを行うことが重要です。練習前後に膝を十分にウォームアップし、クールダウンを行うことで、膝への負担を軽減します。

次に、平泳ぎの正しいフォームを習得することが大切です。専門の指導を受けて、フォームを正しくすることで、膝にかかる負担を減らします。

また、膝と股関節周囲の筋力強化も予防に役立ちます。筋力を強化し、適切なストレッチやエクササイズを行うことで、膝への負担を軽減します。

ストレッチ例

部位解説
ハムストリングスのストレッチ膝の動きをサポートするハムストリングスをストレッチして、柔軟性を向上させます。
四頭筋のストレッチ大腿部の前面をストレッチし、膝にかかる負担を軽減します。
内転筋のストレッチ膝の内側を伸ばすストレッチを行い、筋肉の柔軟性を保ち、関節への負担を軽減します。