四十肩・五十肩:最新の医学的知見に基づくメカニズムと治療法

    こんにちは。横須賀市北久里浜駅の一会整骨院です。今回は、多くの方が悩まれる四十肩・五十肩について、最新の医学的知見を交えながら詳しくご説明します。

    四十肩・五十肩とは

    四十肩・五十肩は医学用語では「肩関節周囲炎」または「癒着性肩関節包炎」と呼ばれる症状です。40代から50代に多く見られることからこの名称がついていますが、実際にはより若い年齢や高齢の方にも発症することがあります。

    発症のメカニズム

    最新の研究によると、四十肩・五十肩の発症メカニズムは以下のように考えられています。

    1. 炎症の発生: 肩関節周囲の軟部組織、特に関節包や腱板、上腕二頭筋長頭腱などに炎症が生じます。
    2. 関節包の癒着: 炎症が進行すると、関節包が癒着し、肩関節の動きが制限されます。
    3. 筋力低下: 痛みや動きの制限により、肩周囲の筋肉が使われなくなり、筋力が低下します。
    4. 姿勢の変化: 加齢に伴う姿勢の変化、特に胸椎の後彎の増大が、肩関節への負担を増加させる要因となります。

    発症の要因

    四十肩・五十肩の発症には、以下のような要因が関与していることが分かっています:

    1. 加齢による組織の変性
    2. 過度の使用や外傷
    3. 生活習慣病(特に糖尿病、高血圧、高脂血症)
    4. ストレスや睡眠不足
    5. 姿勢の悪化

    特に注目すべきは、糖尿病との関連です。糖尿病患者は通常の5〜10倍も四十肩・五十肩を発症しやすいという報告があります。また、糖尿病がある場合、症状の改善にも時間がかかる傾向があります。

    症状の進行

    四十肩・五十肩の症状は、一般的に以下の3つの段階を経て進行します。

    1. 炎症期(疼痛期):

    • 激しい痛みが特徴
    • 夜間痛が顕著
    • 持続期間:2〜9か月

    2. 拘縮期(凍結期):

    • 痛みは軽減するが、肩の動きが著しく制限される
    • 持続期間:4〜12ヶ月

    3. 回復期(解凍期):

    • 徐々に肩の動きが改善する
    • 持続期間:5〜26ヶ月

    これらの期間は個人差が大きく、治療期間にも大分差が出てきます。適切な治療を受けることで回復を早めることができます。

    診断方法

    四十肩・五十肩の診断には、以下の方法が用いられます。

    1. 問診と身体診察: 症状の経過や痛みの性質、肩の可動域などを確認します。
    2. 画像診断: X線やMRIで他の疾患(腱板断裂など)を除外します。
    3. 造影MRI: 最新の診断方法として、造影剤を用いた特殊なMRIで関節包の炎症を可視化できます。

    最新の治療アプローチ

    四十肩・五十肩の治療は、症状の段階に応じて適切に選択する必要があります。以下に最新の治療アプローチをご紹介します。

    1. 炎症期の治療:

    • 安静:過度の使用を避け、炎症を鎮めることが重要です。
    • 薬物療法:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服や外用剤を使用します。
    • ステロイド注射:症状が強い場合に考慮されます。
    • 物理療法:超音波療法やレーザー療法などで炎症を抑制します。

    上記の治療は主に整形外科での処置となり、整骨院では注射や処方箋を出すことは出来ません。物理療法は整骨院でも用意されているところが多いと思います。

    2. 拘縮期の治療:

    • ストレッチング:痛みの範囲内で徐々に可動域を広げていきます。
    • 関節モビライゼーション:専門家による適切な関節の動きの誘導を行います。
    • 筋力トレーニング:肩周囲の筋力を維持・向上させます。

    3. 回復期の治療:

    • 積極的な運動療法:日常生活動作の改善を目指します。
    • 自主トレーニング指導:家庭でできるエクササイズを指導します。

    4. 新しい治療法:

    • 高濃度血小板血漿(PRP)療法:自己の血小板を濃縮して注入し、組織の修復を促進します。
    • 体外衝撃波治療:音波エネルギーを用いて、組織の修復と血流改善を促します。

    予防と自己管理

    四十肩・五十肩の予防と再発防止には、以下の点に注意が必要です。

    1. 姿勢の改善: 特に胸椎の後彎を防ぐために、日常的な姿勢チェックと矯正を心がけましょう。
    2. ストレッチング: 肩周囲の柔軟性を維持するために、定期的なストレッチングを行いましょう。
    3. 筋力トレーニング: 肩周囲の筋力バランスを保つために、適度な筋力トレーニングを行いましょう。
    4. 生活習慣病の管理: 糖尿病、高血圧、高脂血症などの管理を適切に行いましょう。
    5. ストレス管理: 十分な睡眠と適度なリラックスを心がけましょう。

    まとめ

    四十肩・五十肩は、適切な治療と自己管理により改善が期待できる症状です。しかし、その回復には時間がかかることも事実です。症状が現れたら早めに整形外科や整骨院に相談し、適切な治療を受けることが重要です。

    当院では、最新の医学的知見に基づいた治療と、患者様一人ひとりの生活スタイルに合わせたケアプランをご提案しています。四十肩・五十肩でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。一緒に、痛みのない快適な生活を取り戻しましょう。