スポーツに見られるグローインペインとは

    こんにちは、北久里浜、堀ノ内駅から車で2分、横須賀市根岸町の一会整骨院です。このブログでは、サッカー選手やハードル選手など、アスリートに特に多く見られる「グローインペイン」について詳しく解説していきます。痛みに悩む方々に役立つ情報と当院での治療アプローチをご紹介します。

    グローインペインとは?

    グローインペインとは、鼠径部(そけいぶ)と呼ばれる太ももの付け根の前面から内側にかけての痛みを総称します。この部位は足を動かす重要な筋肉や腱が集まる場所であり、特にダッシュやキック、方向転換など、急激な動きを伴うスポーツで痛みが生じやすくなります。

    サッカー選手の間では「サッカー股関節」とも呼ばれることがあり、プロからアマチュアまで多くの選手を悩ませる症状です。ハードル選手においても、跳躍時の脚の動きによって同様の痛みが発生することが少なくありません。

    なぜグローインペインはアスリートに多いのか?

    グローインペインがスポーツ選手、特にサッカー選手やハードル選手に多く見られる理由は、これらのスポーツ特有の動作にあります。

    サッカー選手の場合

    • 強いキック動作での股関節の屈曲と伸展
    • 急な方向転換やカッティング動作
    • ダッシュとストップの繰り返し
    • 片脚立ちでのバランス保持

    ハードル選手の場合

    • 跳躍時の股関節の大きな可動域
    • 着地時の衝撃吸収
    • リード脚とトレイル脚の非対称な使い方
    • 高速走行中の股関節の安定性維持

    これらの動作が繰り返されることで、鼠径部周辺の組織に過度なストレスがかかり、炎症や損傷につながるのです。

    グローインペインの主な原因

    グローインペインには様々な原因が考えられますが、主に以下のような要因が関わっています:

    1. 筋肉の損傷や炎症

    股関節周辺の筋肉、特に内転筋群(太ももの内側の筋肉)や腸腰筋(腰から太ももにかけての深層筋)が、過度な使用や急激な動きによって損傷することがあります。これらの筋肉は、サッカーのキック動作やハードル走の跳躍で特に負担がかかります。

    2. 関節唇(ラブラム)の損傷

    股関節の臼蓋(きゅうがい)という部分にある軟骨性の組織「関節唇」が損傷することで痛みが生じることがあります。特に股関節の可動域が大きい動作を繰り返すアスリートに見られます。

    3. 恥骨結合炎

    左右の恥骨が前方で結合している部分に炎症が生じる状態です。サッカーのようにキック動作が多いスポーツで発症リスクが高まります。

    4. スポーツヘルニア(アスリートヘルニア)

    鼠径部の筋膜や腹壁が弱くなり、内臓が押し出されるわけではありませんが、同様の痛みを引き起こす状態です。従来のヘルニアとは異なるため、診断が難しく「隠れた原因」となっていることも。

    5. 姿勢や動作のバランス不良

    体幹の弱さや骨盤のアライメント異常、柔軟性の欠如などによって、正しいフォームが保てずに特定の部位に負担が集中することもグローインペインの原因となります。

    痛みのメカニズム:なぜこれほど厄介なのか?

    グローインペインが治りにくく、厄介な症状である理由は、そのメカニズムにあります。

    解剖学的な複雑さ

    鼠径部は筋肉、腱、靭帯、神経など様々な組織が密集している複雑な領域です。そのため、痛みの原因を特定するのが難しく、一つの問題が他の組織にも影響を及ぼしやすくなっています。

    悪循環の形成

    初期症状が軽いうちに無視して運動を続けると、代償動作(痛みをかばった不自然な動き)が定着し、他の部位にも負担がかかる悪循環が生まれます。例えば、股関節の痛みをかばって膝(ランナー膝、ジャンパー膝)や腰(腰椎分離すべり症)に過度な負担がかかり、新たな痛みが生じることもあります。

    連鎖的な影響

    股関節は体の中心に位置し、上半身と下半身をつなぐ重要な役割を担っています。そのため、ここに問題が生じると全身のバランスや動きに影響が出やすく、パフォーマンス低下にもつながります。

    グローインペインの症状:こんな症状があれば注意

    典型的なグローインペインの症状には以下のようなものがあります:

    • 股関節や太ももの付け根の痛み(特に運動中や運動後)
    • キックやジャンプなど、特定の動作で増強する痛み
    • 朝起きた時や長時間座った後の硬さや違和感
    • 鼠径部の圧痛(押すと痛い)
    • ストレッチ時の違和感や痛み
    • 運動パフォーマンスの低下

    これらの症状が見られる場合、早めの対処が重要です。放置すると慢性化し、長期間スポーツから離脱せざるを得なくなることもあります。

    一会整骨院での治療アプローチ

    当院ではグローインペインに対して、原因を正確に把握した上で、包括的な治療計画を立てています。以下が当院の治療アプローチです:

    1. 股関節だけでなく、全身の状態を検査

    当院の治療の特徴は痛みの原因をお体全体を診て施術をすすめていきます。股関節だけでなく、背骨の硬さや足首の硬さが原因で痛みがなかなか完全しない鼠径部痛の患者様も多々経験しています。

    2. 手技療法

    • 筋膜リリース:硬くなった筋膜(筋肉を包む膜)をほぐし、柔軟性を回復させます
    • 関節モビライゼーション:股関節の可動域を改善し、適切な動きを取り戻します
    • トリガーポイント療法:筋肉内の痛みのもととなる硬結(こうけつ)を緩和します

    3. 運動療法

    • 段階的リハビリテーション:弱化した筋肉の強化と柔軟性向上
    • コアトレーニング:体幹の安定性を高め、股関節への負担を軽減
    • バランストレーニング:適切な動作パターンの再学習

    運動選手でも体の偏った使い方が癖になり、グローインペインを引き起こしているケースもあります。治療と併用して自宅でもリハビリを行うことでより早期に改善が望めると考えています。

    4. 生活指導とセルフケア

    • アイシング方法:急性期の痛みや炎症の管理
    • ストレッチ指導:自宅でできる効果的なストレッチ法
    • フォーム修正:スポーツ動作の改善点とトレーニング法

    グローインペインの予防法:痛みを繰り返さないために

    グローインペインは一度発症すると再発しやすい傾向があります。当院では以下のような予防法をお伝えしています:

    1. 適切なウォームアップとクールダウン

    特に内転筋群や股関節周囲の筋肉をしっかりとほぐすことが重要です。動的ストレッチから始め、徐々に強度を上げていくアプローチが効果的です。

    2. 筋力バランスの改善

    内転筋と外転筋、腹筋と背筋などのバランスを整えることで、股関節への負担を均等に分散させます。特に「弱い」筋肉を重点的に強化することがポイントです。

    3. 柔軟性の向上

    股関節周囲の柔軟性を高めることで、急な動きにも対応できる身体を作ります。ただし、過度なストレッチは逆効果となる場合もあるため、適切な方法で行うことが大切です。

    4. トレーニング負荷の管理

    急激な運動量の増加や高強度トレーニングの連続は避け、適切な休息を取り入れたトレーニング計画を心がけましょう。

    5. 早期対応の習慣化

    違和感や軽度の痛みを感じた段階で適切な対処を行うことが、深刻な状態への発展を防ぎます。「少しの痛みなら」と無理をせず、早めの相談をおすすめします。

    なぜ一会整骨院がグローインペインの治療に適しているのか

    当院がグローインペインの治療に力を入れている理由は、この症状の複雑さと選手にとっての重要性を深く理解しているからです。

    豊富な治療実績

    院長自身が埼玉県の接骨院での研修中にサッカーチームへトレーナーとして派遣されていました。そのため、多くのサッカー選手や陸上競技のグローインペイン治療に携わってきた経験があります。各選手ごとの体の状態を把握しオーダーメイドの治療計画を立てることが可能です。

    スポーツ現場の理解

    院長自身も剣道、柔道、ブレイクダンスと多彩なスポーツ経験があり、選手の気持ちやスポーツ特有の動きを理解しています。「なるべく早く復帰したい」という気持ちに寄り添いながらも、無理のない回復プランを提案します。

    継続的なサポート

    単に痛みを取り除くだけでなく、再発防止や競技力向上まで視野に入れた長期的なサポートを行います。治療後のフォローアップや定期的なメンテナンスも重視しています。

    まとめ:グローインペインは克服できる

    グローインペインは確かに厄介な症状ですが、適切な治療とケアによって十分に克服可能です。大切なのは:

    1. 痛みを我慢せず、早めに専門家に相談すること
    2. 原因を正確に把握し、適切な治療を受けること
    3. 再発防止のための習慣を身につけること

    一会整骨院では、あなたのスポーツ生活を長く、健康に続けられるようサポートしています。

    グローインペイン(鼠径部の痛み)の痛みでお困りなら一度ご来院下さい。

    横須賀市で整骨院をお探しなら一会整骨院へ!北久里浜駅、堀ノ内駅から車で2分。駐車場完備。完全予約制

    〒239-0807 横須賀市根岸町5-21-38 1F右 

    ☎046-845-9171

    【参考文献・書籍】

    1. 日本整形外科学会編「スポーツ整形外科学」医学書院, 2021
    2. 福林徹「スポーツ障害の理学診断・理学療法ガイド」文光堂, 2020
    3. Werner J, Hägglund M, Waldén M, et al. “UEFA injury study: a prospective study of hip and groin injuries in professional football over seven consecutive seasons.” British Journal of Sports Medicine, 2019
    4. Holmich P. “Long-standing groin pain in sportspeople falls into three primary patterns, a “clinical entity” approach.” British Journal of Sports Medicine, 2018
    5. 宮本俊和「スポーツ外傷・障害の理学療法」メジカルビュー社, 2022