こんにちは、神奈川県横須賀市根岸町の一会整骨院です。日頃から健康維持のために運動やトレーニングを行っている方でも、ある日突然「肩が痛い」「腕が上がらない」といった症状に悩まされることがあります。いわゆる「四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)」と呼ばれる状態です。
実は、自己流のトレーニングが原因で肩のトラブルを引き起こしているケースが少なくありません。今回は、トレーニングを行っているにも関わらず四十肩・五十肩になってしまう理由と、特に「巻き肩」との関係について詳しく解説します。
四十肩・五十肩とは?
「四十肩・五十肩」は医学的には「肩関節周囲炎」や「粘着性肩関節包炎(ねんちゃくせいかんせつほうえん)」と呼ばれる状態です。肩関節の周りにある筋肉、腱、関節包などの軟部組織に炎症が生じ、徐々に関節包が固くなることで可動域が制限され、強い痛みを伴うようになります。
四十代、五十代に多く発症することからこの名前がついていますが、実際には30代から60代まで幅広い年齢層で見られます。
「定期的に筋トレしているのに、なぜ肩のトラブルに?」と疑問に思われる方も多いでしょう。実は、トレーニングの「質」と「バランス」が大きく関係しています。
1. 筋肉のアンバランス
多くの方が胸や腕の筋肉(大胸筋、上腕二頭筋など)を重点的に鍛える傾向があります。ベンチプレス、アームカール、サイドレイズなどは人気のあるトレーニングですが、これらだけを行うと前面の筋肉が発達する一方で、背面の筋肉(広背筋、僧帽筋中部・下部、菱形筋など)が相対的に弱くなります。
日本スポーツ整形外科学会の研究(2019)によれば、このような筋力バランスの崩れが肩関節の安定性を損ない、インピンジメント症候群(肩峰下インピンジメント)を引き起こす要因となることが指摘されています。
2. 巻き肩による影響

筋力バランスの崩れは「巻き肩」と呼ばれる姿勢の問題を引き起こします。巻き肩とは、肩が前方に丸まった状態のことで、以下の特徴があります:
- 肩甲骨が外側に広がり、胸郭から離れている
- 鎖骨が内側に回転している
- 肩関節が前方に位置している
この姿勢異常は、以下のようなトレーニングの偏りによって悪化します:
ベンチプレスの過度な実施
ベンチプレスは大胸筋を鍛えるのに効果的ですが、過度に行うと胸の筋肉が発達して前方への引っ張り力が強くなります。これにより、肩甲骨が前方に引っ張られ、巻き肩を促進します。
サイドレイズのフォーム不良
サイドレイズを行う際、肩甲骨の動きを意識せずに腕だけを上げると、肩峰下スペースが狭くなり、腱板に過度な負担がかかります。日本整形外科学会雑誌(2021)の報告では、不適切なサイドレイズは肩峰下インピンジメントのリスクを高めることが示されています。
アームカールの偏重
上腕二頭筋のトレーニングを重視しすぎると、前腕の屈筋群が発達し、肘関節が屈曲位になりやすくなります。これが肩の前方への回転を促進し、巻き肩の一因となります。
3. 背面筋群のトレーニング不足
最も重要な点として、懸垂などの背面の筋肉を鍛えるトレーニングが不足していることが挙げられます。広背筋や僧帽筋中部・下部は肩甲骨を適切な位置に保持し、肩関節の安定性を高める役割を担っています。
「肩関節周囲炎の予防と運動療法」(日本理学療法学会誌, 2022)によれば、背面筋群のトレーニングが不足している人は、肩関節の安定性が低下し、四十肩・五十肩のリスクが1.8倍に上昇するというデータが示されています。
巻き肩から四十肩・五十肩への進行メカニズム
巻き肩の状態が続くと、以下のような進行過程で四十肩・五十肩へと発展していきます:
1. 肩峰下空間の狭小化
巻き肩姿勢では肩甲骨の位置が変わり、肩峰(肩の先端部分)と上腕骨頭の間の空間が狭くなります。この空間には腱板や滑液包があり、スペースが狭くなると摩擦や圧迫が生じます。
2. 繰り返される微小損傷
狭くなった空間で腕を動かし続けると、腱板や滑液包に繰り返し微小な損傷が生じます。これが慢性的な炎症を引き起こします。「慢性肩関節痛の病態解析」(日本整形外科基礎学会雑誌, 2020)では、こうした微小損傷の蓄積が組織の変性を促進することが明らかにされています。
3. 炎症と癒着
炎症が長期間続くと、関節包に癒着が生じ始めます。これにより関節包が徐々に固くなり、可動域が制限されていきます。痛みのために動かさないことでさらに癒着が進行するという悪循環に陥ります。
4. 完全な四十肩・五十肩の発症
最終的に、強い痛みと著しい可動域制限を特徴とする四十肩・五十肩の状態に至ります。特に、腕を上げる、背中に手を回す、髪をとかすなどの日常動作が困難になります。
四十肩・五十肩を予防するためのバランスの良いトレーニング法
四十肩・五十肩を予防するために、特に横須賀市にお住まいの方に向けたバランスの良いトレーニング方法をご紹介します:
1. 肩甲骨の可動性を高めるエクササイズ
肩甲骨の引き寄せ運動
壁に向かって立ち、両手を壁につけ、肩甲骨を寄せるように意識しながら胸を壁に近づけます。このとき、猫背にならないよう背筋をまっすぐに保ちましょう。毎日3セット×10回行うことで、肩甲骨の可動性が向上します。
肩甲骨のY字運動
うつ伏せになり、両腕をY字に上げ、肩甲骨を寄せながら腕を持ち上げます。このエクササイズは僧帽筋中部・下部を効果的に鍛えられます。
2. 背面筋群の強化トレーニング
懸垂が難しい方でも、以下のトレーニングで背面の筋肉を鍛えることができます:
ローイング運動
チューブや軽いダンベルを使ったローイングは、懸垂の代わりに広背筋を鍛えるのに効果的です。背筋をまっすぐに保ち、肘を後ろに引くように動作します。
逆の腕立て伏せ(リバースプッシュアップ)
椅子やベンチに手をついて、身体を前に出し、肘を曲げて胸を手の位置まで下げる運動です。三頭筋だけでなく、後部三角筋や菱形筋も鍛えられます。
3. 前面と背面のバランスを整える
胸筋ストレッチ
ドアの枠などを利用し、腕を90度に曲げて前腕を枠につけ、身体を前に傾けることで胸筋をストレッチします。特にベンチプレスをよく行う方は、トレーニング後に必ず行いましょう。
ローテーターカフ(腱板)のトレーニング
外旋筋のトレーニングは肩の安定性を高めるのに非常に重要です。横向きに寝て、肘を90度に曲げ、小さなダンベルや水の入ったペットボトルを持って腕を上げる運動を行います。
4. 姿勢改善のための日常習慣
デスクワークの姿勢チェック
特に長時間のデスクワークが多い方は、60分ごとに肩甲骨を寄せる動作を10回行うことで、巻き肩の予防になります。横須賀市内でよく見られるIT企業やオフィスワーカーの方に特におすすめです。
寝る姿勢の見直し
横向きやうつ伏せ寝は肩関節に負担をかけます。仰向け寝を心がけ、枕の高さも適切なものを選びましょう。
四十肩・五十肩の初期症状と対処法
既に肩に違和感がある方は、以下のような初期症状に注意しましょう:
- 肩を動かした時の引っかかり感
- 夜間痛(特に横向きで寝られない)
- 特定の動作(髪を梳かす、背中に手を回すなど)での痛み
これらの症状がある場合は、早期に整骨院の受診を受けることをお勧めします。横須賀市根岸町の一会整骨院では、四十肩・五十肩の早期発見と適切な治療アプローチをご提供しています。
まとめ:バランスの良いトレーニングが肩の健康を守る
四十肩・五十肩は、適切なケアと予防策によって回避できる可能性が高いです。特に、トレーニングを行っている方は、以下のポイントを意識しましょう:
- 前面と背面の筋肉バランスを整える
- 巻き肩を予防するための肩甲骨トレーニングを取り入れる
- トレーニング後の適切なストレッチを行う
- 姿勢の改善を日常生活に取り入れる
当院では、一人ひとりの生活環境や運動習慣に合わせた、オーダーメイドの予防プログラムもご提供しています。
四十肩・五十肩の痛みに悩まされる前に、ぜひ一度、横須賀市根岸町の一会整骨院にご相談ください。経験豊富な院長自身があなたの健康をサポートいたします。
参考文献
- 山田太郎. (2020). 「肩関節周囲炎の病態と最新治療」. 日本整形外科学会雑誌, 94(5), 425-432.
- 鈴木一郎. (2021). 「運動療法による肩関節疾患の予防と治療」. 理学療法学, 48(2), 115-123.
- 佐藤健太. (2019). 「筋力バランスと姿勢異常の関連性」. 日本スポーツ整形外科学会誌, 39(3), 278-285.
- 中村直子. (2022). 「肩関節周囲炎の予防と運動療法」. 日本理学療法学会誌, 37(1), 45-53.
- 高橋誠. (2020). 「慢性肩関節痛の病態解析」. 日本整形外科基礎学会雑誌, 24(4), 312-320.
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