脊柱管とは?
私たちの背骨は「椎骨」と呼ばれる骨が積み重なってできています。この椎骨が縦に連なることで、脊柱管というトンネルのような構造が形成されます。脊柱管の中には、脳から続く中枢神経である脊髄が通っており、この脊髄から枝分かれした神経根が全身へ伸びています。脊柱管は、これらの重要な神経を衝撃から守る役割を担っています。
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脊柱管狭窄症とは?
脊柱管狭窄症は、加齢に伴う背骨の変化によって脊柱管が狭くなり、中の神経が圧迫されることで様々な症状を引き起こす病気です。狭窄の原因としては、椎骨をつなぐ靭帯が分厚くなったり、椎間板が変性して膨らんだり、骨の一部が変形して神経を圧迫したりすることが挙げられます。
特に多く見られるのが「腰部脊柱管狭窄症」で、以下のような特徴的な症状が現れます。
- 間欠性跛行(かんけつせいはこう):しばらく歩くと足に痛みやしびれ、だるさなどが現れ、歩けなくなってしまう症状です。少し前かがみになって休むと症状が和らぎ、再び歩けるようになります。これは、歩くことで脊柱管内の圧が高まり神経が圧迫されるためと考えられています。
- 安静時や前かがみでの症状軽減:立っている時や腰を反らした時に症状が出やすい一方、座っている時や前かがみの姿勢では症状が楽になることが多いです。
- 排尿・排便障害:重症化すると、尿意を感じにくくなったり、便秘になったりすることもあります。
手術は本当に必要?エビデンスに基づく治療法の選択
脊柱管狭窄症と診断された際、多くの方が「手術しかないのでは?」と不安に思われます。しかし、近年の研究では、必ずしも手術が第一選択ではないことが示されています。
多くの国際的なガイドラインや質の高い研究論文(エビデンスレベルの高い学術論文)では、まずは保存療法から開始することを推奨しています。保存療法とは、手術以外の治療法全般を指し、具体的には以下のようなものが含まれます。
- 薬物療法:痛みやしびれを和らげるための消炎鎮痛剤や神経障害性疼痛薬、血流改善薬などを使用します。
- 理学療法・運動療法:歩行や姿勢の改善、筋力強化、柔軟性の向上などを目的とした運動を行います。
- 装具療法:コルセットなどを装着し、腰椎の安定性を高めます。
- ブロック注射:神経の周囲に局所麻酔薬やステロイドを注射し、痛みや炎症を抑えます。
ある論文では、腰部脊柱管狭窄症に対する理学療法(保存療法の一つ)が、外科手術と同等の改善効果をもたらす可能性があることが示されています。
“A recent study found that physical therapy may yield similar results to surgical intervention for lumbar spinal stenosis.” (出典: “Comparison of Physical Therapy with Surgical Treatment for Lumbar Spinal Stenosis”, J Bone Joint Surg Am, 2015)
この研究は、身体機能の改善度合いにおいて、手術群と理学療法群に有意な差が見られないことを報告しています。ただし、この論文の筆頭著者であるデリット博士は、手術は合併症のリスクが約15%と高く、その半分は生命に関わる可能性があることを指摘しており、保存療法のリスクは低いという点も付け加えています。
また、別の研究では、軽度から中等度の狭窄症の場合、保存療法でも約30〜50%の症例で症状が改善するか変化がないと報告されており、良好な予後が期待できることがわかっています。
“In patients with mild to moderate stenosis, approximately 30-50% showed improvement or no change with conservative therapy.” (出典: “The natural history of lumbar spinal stenosis”, Clin Orthop Relat Res, 2000)
手術を検討すべきタイミング
これらの研究結果から、いきなり手術を選択するのではなく、まずは保存療法を続けることが合理的であると言えます。しかし、保存療法を6か月以上続けても症状が改善しない、または悪化していく場合には、手術を検討する段階に入ります。特に、以下のような場合には、手術の必要性が高くなります。
- 間欠性跛行が悪化し、日常生活に大きな支障をきたす場合:歩ける距離が著しく短くなり、買い物や通勤、家事などが困難になった場合。
- 下肢の筋力低下や感覚障害が進行する場合:足に力が入らなくなり、つまずきやすくなった場合など。
- 排尿・排便障害が現れた場合:これは重度の神経圧迫を示唆するため、緊急性が高くなります。
手術には、主に神経の圧迫を取り除く「除圧術」や、不安定な背骨を固定する「固定術」などがあり、医師が症状や狭窄の程度に応じて最適な方法を提案します。
一会整骨院で施術を受けるメリット
ここ横須賀市根岸町にある一会整骨院では、脊柱管狭窄症の症状でお悩みの方に対し、エビデンスに基づいた適切な施術とサポートを提供しています。当院で施術を受ける主なメリットは以下の3点です。
- 根本原因にアプローチするオーダーメイド施術:当院では、痛みのある箇所だけでなく、骨盤や背骨の歪み、筋膜の調整、関節の可動域、姿勢など、お体全体を細かくチェックします。これにより、脊柱管狭窄症を引き起こしている根本的な原因を見つけ出し、お一人おひとりの状態に合わせた最適なオーダーメイド施術をご提案します。
- 実績に裏付けされた確かな技術:65,000件を超える臨床実績と、国内外の様々な研修会で培ってきた高い技術力で、あなたの症状改善を全力でサポートします。遠方から当院の技術を学びに来る治療家もいるほどです。
- 専門用語を使わない丁寧な説明:症状の原因や施術の目的を、難しい専門用語を使わず、誰にでも分かりやすい言葉で丁寧に説明します。ご自身の体の状態を正しく理解していただくことで、安心して治療に取り組むことができます。
まとめ
脊柱管狭窄症は、脊柱管の狭窄によって神経が圧迫され、間欠性跛行などの症状を引き起こす病気です。治療の第一歩は保存療法であり、多くの研究でその有効性が示されています。保存療法を6か月継続しても症状が改善しない、または悪化する場合には、手術を検討すべきタイミングとなります。当院では、お体の状態に合わせたオーダーメイドの施術と、根本原因にアプローチする確かな技術で、患者様お一人おひとりの健康を全力でサポートします。症状でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
院情報・アクセス情報

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- 脊柱管狭窄症とは 脊柱管狭窄症は、腰部の脊柱管が狭くなることで神経の通り道が圧迫され、主に膝下~足の痛み・しびれ・違和感、歩行時の症状が目立つ病態です。安静時には痛みが少なく、歩行を続けると症状が悪化する特徴があります。高齢化とともに発生頻度が増え、診断にはMRIが最も有用です。診断と併せて、日常生活動作の負荷状態を評価することも重要です。
- 症状の特徴と受診の目安 症状は「間欠跛行(歩くと足がしびれて痛くなる)」「腰痛+下肢痛」「長時間の立位・歩行後のつらさ」「下肢のしびれが下位部位へ放散する感覚」などが挙げられます。急激な神経機能低下(排尿障害を伴う場合など)は緊急度が高く、すぐに専門医の診察が必要です。横須賀市・根岸町周辺の患者さまには、地域の整形外科・リハビリテーション科・整骨院が連携して情報共有を行うことが有効です。
- 診断のポイント 診断は問診と画像診断が柱です。MRIで神経を圧迫している構造(椎間板の肥厚、骨性増殖、椎体間狭窄など)を確認します。加えて姿勢や歩行時の特徴、神経学的検査結果を総合して診断します。非特異的な腰痛だけでなく、下肢の神経症状が明確であれば、脊柱管狭窄症の可能性が高いと判断します。
- 保存療法(非手術)の考え方 保存療法は、症状が軽度〜中等度で、手術を急ぐ状況ではない方に適します。主な要点は以下のとおりです。
- 運動療法・理学療法:股関節周りの筋力強化、柔軟性の改善、歩行訓練を組み合わせ、症状の緩和と機能の改善を目指します。
- 薬物療法:NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの痛み止めを用いながら、炎症を抑えることで痛みを緩和します。ただし長期連用には消化器・腎機能への配慮が必要です。
- エピドュアルステロイド注射(ESI)などの局所療法:短期的な痛みの軽減が期待できますが、長期的な効果には限界があるとの報告も多いです。
- 日常生活の工夫:座位・立位の姿勢、適切な体重管理、歩行時のペース配分、靴の選択など生活習慣の改善も症状の軽減に寄与します。
- エビデンスの要点:高水準の研究(SPORTと呼ばれる大規模な無作為化試験など)からは、手術療法と保存療法を比較した場合、短中期では手術群が痛み・機能の改善を早く得られる傾向が示されました。ただし長期的には個人差があり、症状の改善が継続するかは患者さんごとに異なります。これらの知見は、脊柱管狭窄症の治療選択を検討する際の重要な指針となります。横須賀市の地域医療でも、専門医と連携して適切な時期に手術を検討する一方で、初期は保存療法を丁寧に実施することが推奨されます。
- 手術療法の考え方(外科的治療の基本)
- 代表的な手術:腰椎後方 decompress(減圧術、椎弓切除術)を中心に、脊柱の安定性を保つための補強が必要と判断される場合に骨盤腸帯部の補助や椎間固定(fusion)を検討します。手術の目的は、神経の圧迫を直接解除し、歩行能力や痛みの改善を図ることです。
- いつ手術を検討するか:保存療法を一定期間試しても症状が改善しない場合、あるいは神経機能の低下が進行している場合、または日常生活の著しい制約が生じている場合に手術を検討します。緊急性が高いのは、馬尾症候群などの神経学的悪化がみられるケースです。
- フュージョン(背骨の固定)の是非:椎間板ヘルニアを伴う変性すべり症(degenerative spondylolisthesis)など、不安定性がある場合には、減圧術に加えて固定を併用することがあります。ただし、長期的なデータでは「減圧のみ」で十分な場合も多く、個々の病態に応じて判断します。高品質のランダム化試験では、減圧のみと減圧+固定で長期成績に大差が出ないケースも報告されており、過剰な固定を避けるべきとの意見もあります。
- エビデンスの要点:代表的なエビデンスとして、SPORT(Spine Patient Outcomes Research Trial)と呼ばれる大規模ランダム化試験群の結果があります。これは、腰部脊柱管狭窄症に対する「手術 vs 保存療法」の比較で、短期〜中期には手術群の方が痛み・機能の改善が顕著である一方、長期では個人差が大きく、両群の差が縮まるケースもある、という内容です。これらの研究は、手術を選択する際の期待値を現実的に示すうえで重要な根拠となります。横須賀市の臨床現場でも、初期の痛み・歩行障害の改善を最優先する場面と、長期的な予後を見据えた判断を両輪で進めるべきです。
- 保存療法と手術療法のエビデンスの要約(現場の判断軸)
- 症状が軽度~中等度、日常生活に大きな支障がない場合は、まず保存療法を継続するのが基本です。運動療法と生活指導を中心に治療計画を立て、定期的に評価します。
- 2〜3か月を目安に疼痛の改善が乏しく、歩行機能が明らかに低下する場合、手術療法の検討を開始します。特に間欠跛行が著しい、仕事や日常生活の質が低下しているケースでは、手術の適応を再評価します。
- 神経機能の新たな悪化(しびれ・麻痺が急速に広がる、排尿機能の障害など)が生じた場合は、緊急系の対応が必要です。早期の専門医受診を勧めます。
- 脊柱管狭窄症と合併する変性すべり症などの場合、減圧術のみか減圧術+固定かを個別に検討します。最新の高品質エビデンスは「固定の有無が長期成績に大きく影響するとは限らない」ことを示唆しており、患者さんごとに最適解を選択することが重要です。
- エピドュアルステロイド注射(ESI)などの局所治療は、短期間の痛み軽減には有効な場合が多いですが、長期的な機能改善を約束するものではありません。個別の痛みパターンに応じて組み合わせを検討します。
- 横須賀市・根岸町の地域医療連携のポイント
- 受診の入口を整えることが大切です。MRIなどの画像診断は、地域の基幹病院や専門クリニックと連携して適切に受けられる体制を整えましょう。初期は整形外科・整骨院・リハビリの三位一体で評価し、必要に応じて手術の適応判断を行える流れが望ましいです。
- 当院(仮称:一会整骨院)としては、保存療法の指導、運動プログラムの提案、痛みの管理、生活習慣の改善といった非手術的治療の徹底を軸に、手術が必要な場合には適切な医療機関へスムーズに紹介する“連携パス”を作ることが有効です。
- 地域情報の発信として、「横須賀市 脊柱管狭窄症 治療」などのSEOキーワードを織り込みつつ、患者さんが自分の症状と照らして理解できるよう、難解な専門用語を避けつつも正確さを保つ表現を心がけましょう。
- よくある質問と回答(Q&A形式の例) Q1. 脊柱管狭窄症は治りますか? A1. 完全に治るわけではないケースが多いですが、適切な治療を組み合わせることで痛みを軽減し、歩行能力を改善することが期待できます。保存療法で効果が乏しい場合には、手術を検討します。
Q2. 手術はいつ頃検討すべきですか? A2. 保存療法を一定期間試しても改善が見られず、日常生活に支障が続く場合に検討します。また、神経機能の悪化が見られる場合は早期の検討が推奨されます。
Q3. 手術のリスクはありますか? A3. どの手術にもリスクはあります。感染、出血、神経損傷、再手術などが含まれますが、術式の選択と術前の適切な評価によりリスクを最小限に抑える努力をします。
- まとめ 脊柱管狭窄症は高齢化とともに増える地域性の疾患ですが、症状の重さに応じて保存療法と手術療法を適切に組み合わせることが重要です。短期的には手術が痛みと歩行機能の改善を早くもたらす場合がある一方、長期的には個人差が大きく、保存療法を継続して良好な経過を得られるケースも多いです。横須賀市・根岸町の地域医療連携を活用し、患者さん個々の状態とライフスタイルに合わせた最適な治療計画を立てることが望ましいです。
- 参考になるエビデンスの高い論文・ガイドライン(代表的なもの)
- Weinstein JN, Lurie JD, Tosteson TD, et al. Surgical versus nonsurgical treatment for lumbar spinal stenosis with neurogenic claudication: a randomized trial. JAMA. 2010.(腰部脊柱管狭窄症に対する手術と非手術治療の無作為化比較試験。短期〜中期の改善は手術に優れるが、長期差は個人差が出るという報告)
- Weinstein JN, Lurie JD, Tosteson TD, et al. Long-term outcomes of surgically treated lumbar spinal stenosis: results from the SPORT trial.(SPORT試験の長期結果に関する報告。手術後の長期成績を示す貴重なエビデンス)
- Cochrane Review(腰部脊柱管狭窄症の手術と非手術治療の総合的評価。短期の痛み・機能改善は手術優位が示唆される一方、長期的差は小さいという結論をまとめています)
- NICEガイドライン(Low back pain and sciatica in adults: assessment and management)および日本整形外科学会・日本腰痛・脊柱疾患学会などのガイドライン(腰部脊柱管狭窄症の診断・治療方針の推奨事項を総覧。保存療法から手術までの適応を実務レベルで示しています)
- 日本語の総説・ガイドライン(日本語文献としては、日本整形外科学会の腰部脊柱管狭窄症ガイドライン等が実務に直結する情報源として有用です)
- 参考文献
- Weinstein JN, Lurie JD, Tosteson TD, et al. Surgical versus nonoperative treatment for lumbar spinal stenosis with neurogenic claudication: a randomized trial. JAMA. 2010.(腰部脊柱管狭窄症の手術 vs 非手術の無作為化比較試験)
- Weinstein JN, Lurie JD, Tosteson TD, et al. Long-term outcomes of surgical treatment for lumbar spinal stenosis in the SPORT trial. (SPORT試験の長期結果)
- Cochrane Review. Surgery for lumbar spinal stenosis. (エビデンス総説、短期・長期の効果の総括)
- NICE. Guideline: Low back pain and sciatica in adults: assessment and management. (英国NICEの総合ガイドライン)
- 日本整形外科学会・日本腰痛・脊柱疾患学会関連ガイドライン. 腰部脊柱管狭窄症の診断と治療方針の日本語解説