
こんにちは。横須賀市の一会整骨院です。
股関節の痛みでお悩みの方は多くいらっしゃいますが、「なぜ痛いのか」「どうすれば良くなるのか」を患者さん自身が理解することで、治療への安心感が生まれると思いブログを作成しました。今回は、当院が股関節治療で重視している4つのポイントについて、わかりやすく解説いたします。
1. 関節包の内圧上昇と牽引治療の重要性

関節包の内圧が高くなると痛む理由
股関節は「関節包」という袋状の膜で包まれています。この関節包の中には関節液があり、通常は適度な圧力が保たれています。
しかし、炎症や長期間の負担により関節包の内圧が高まると、以下のような問題が起こります。
- 関節包が内側から引き伸ばされる:関節包には痛みを感じる神経(侵害受容器)が豊富に存在しており、内圧上昇によって機械的に刺激されます
- 血流が阻害される:内圧が高まると関節包周辺の血管が圧迫され、酸素や栄養が届きにくくなります
- 老廃物が蓄積する:圧力によって組織液の循環が悪くなり、痛み物質が溜まりやすくなります
なぜ牽引治療が有効なのか
牽引治療では、股関節を適度に引き離すことで以下の効果が得られます。
- 関節包の内圧を下げる:関節のスペースが広がることで、圧迫されていた関節包が解放されます
- 循環の改善:関節周辺の血流やリンパの流れが促進され、痛み物質の排出が進みます
- 関節の動きの改善:関節の遊びが回復し、本来のスムーズな動きを取り戻せます
当院では、患者さんの状態に合わせた治療をおこなっていますが、その選択肢に1つに牽引を取り入れ、関節包への負担を軽減していきます。
2. ファシア(筋膜)治療による痛みの軽減メカニズム

ファシアとは何か
ファシア(筋膜)は、筋肉や臓器を包み込む薄い膜状の組織です。全身に張り巡らされており、体を支える「第二の骨格」とも呼ばれています。
股関節周辺では、大腿筋膜張筋や腸脛靭帯など、広範囲にファシアが存在します。
ファシアの癒着が痛みを引き起こす理由
長時間の同じ姿勢や繰り返しの動作により、ファシアは以下のような状態になります。
①血管のうっ血(血液の滞り)
- ファシアが癒着したり硬くなると、その中を通る微小血管が圧迫されます
- 血液の流れが悪くなり、組織が酸欠状態に陥ります
- 酸欠状態の組織は痛みを発する信号を出します
②ブラジキニンの遊離
- 組織が酸欠状態になると、「ブラジキニン」という強力な痛み物質が放出されます
- ブラジキニンは痛みを感じる神経を直接刺激し、鋭い痛みを引き起こします
- さらに炎症を促進し、痛みの悪循環を生み出します
ファシア治療の効果
当院のファシア治療では、癒着した筋膜を丁寧にほぐすことで:
- 血管のうっ血を解消:圧迫されていた血管が解放され、新鮮な血液が流れ込みます
- 酸素供給の回復:組織に十分な酸素が届き、酸欠状態が改善されます
- ブラジキニンの遊離を抑制:組織環境が正常化し、痛み物質の産生が減少します
- 老廃物の排出促進:血流改善により、蓄積していた老廃物が除去されます
結果として、痛みが大幅に軽減され、股関節の動きもスムーズになっていきます。
3. 仙腸関節と梨状筋の関係性

股関節の痛みを語る上で、実は腰の仙腸関節が非常に重要な役割を果たしています。
仙腸関節とは
仙腸関節は、骨盤の仙骨と腸骨をつなぐ関節です。わずか数ミリしか動きませんが、体重を支え、歩行時の衝撃を吸収する重要な役割があります。
仙腸関節と梨状筋のつながり
ここで重要なのが梨状筋という筋肉です:
- 梨状筋の付着部位:梨状筋は仙腸関節の前面(仙骨の前側)から始まり、股関節の大腿骨に付着しています
- 位置関係:お尻の深層部にあり、股関節の安定性に関わる重要な筋肉です
なぜ仙腸関節の機能不全が股関節の痛みを引き起こすのか
仙腸関節の動きが悪くなると、以下のような連鎖反応が起こります:
- 土台の不安定化:仙腸関節が正常に機能しないと、骨盤全体のバランスが崩れます
- 梨状筋への過剰な負担:不安定な土台を補おうと、梨状筋が過度に緊張します
- 梨状筋の緊張による痛み:
- 緊張した梨状筋自体が痛みを発します
- 梨状筋の下を通る坐骨神経が圧迫され、お尻から足にかけての痛みやしびれが出ます(梨状筋症候群)
- 股関節の動きが制限され、股関節自体にも負担がかかります
仙腸関節治療の重要性
当院では、股関節の痛みに対して必ず仙腸関節の評価を行います。仙腸関節を整えることで、
- 梨状筋を初めとする臀部の緊張が自然と緩和されます
- 骨盤の安定性が回復し、股関節への負担が軽減されます
- 痛みの根本原因にアプローチできます
「股関節が痛いのに、なぜ腰を治療するの?」と思われる方もいらっしゃいますが、体はすべてつながっています。土台である仙腸関節を整えることが、股関節治療の鍵なのです。
4. 腸腰筋へのアプローチが不可欠な理由

腸腰筋とは
腸腰筋は、「大腰筋」と「腸骨筋」を合わせた総称で、体の深層部にある強力な筋肉です。
腸腰筋の走行と役割
腸腰筋の走行を見ると、股関節治療における重要性が理解できます。
- 起始部:大腰筋は腰椎(第12胸椎~第5腰椎)から、腸骨筋は骨盤の内側から始まります
- 終着部:両筋肉は合流して、大腿骨の小転子(股関節の内側)に付着します
- 走行の特徴:体の前面深部を通り、まさに股関節の「ど真ん中」を貫いています
なぜ腸腰筋が股関節治療に欠かせないのか
①股関節の主要な動きを担う
- 股関節を曲げる(屈曲)動作の主動筋です
- 歩く、階段を上る、座るといった日常動作に不可欠です
- 腸腰筋が弱ったり硬くなると、これらの動作で痛みが出ます
②股関節の安定性を保つ
- 股関節の前面で関節を安定させる役割があります
- 腸腰筋が機能しないと、関節の不安定性が増し、他の組織への負担が増えます
③関節包との密接な関係
- 腸腰筋は股関節の関節包のすぐそばを走行しています
- 腸腰筋が緊張すると、関節包を圧迫し、前述した内圧上昇の原因になります
- また、関節包の動きを制限し、股関節の可動域を狭めます
④姿勢と骨盤の位置に影響
- 腸腰筋は腰椎と骨盤を結んでいるため、姿勢に大きく関与します
- 腸腰筋が硬くなると骨盤が前傾し、股関節への負担が増します
- 逆に弱くなると骨盤が後傾し、これも股関節に悪影響を及ぼします
腸腰筋への施術内容
当院では、腸腰筋に対して以下のアプローチを行います:
- 緊張の緩和:深部にある筋肉なので、慎重かつ的確に施術を行います
- 柔軟性の回復:硬くなった腸腰筋をほぐし、本来の弾力性を取り戻します
- 筋力の評価と指導:必要に応じて、適切なエクササイズをお伝えします
腸腰筋は股関節の動きの中心にある筋肉です。ここを治療せずに股関節の痛みを根本から改善することは困難と言えるでしょう。
まとめ:包括的なアプローチで根本改善を
股関節の痛みは、一つの原因だけで起こることは稀です。当院では、
- 関節包の内圧を牽引で調整
- ファシア(筋膜)をほぐして血流改善と痛み物質の抑制
- 仙腸関節を整えて梨状筋の緊張を解放
- 腸腰筋にアプローチして股関節の機能を回復
これら4つのポイントを総合的に評価し、あなたの体の状態に合わせた施術を行います。
「どこに行っても良くならなかった」という方も、諦めずにご相談ください。痛みの本当の原因を見つけ出し、根本からの改善を目指しましょう。
一会整骨院
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