産後の不調の7割以上は仙腸関節が原因|横須賀市一会整骨院

    産後の骨盤矯正|一会整骨院 杉田友康院長コラム
    産後ケア・骨盤矯正

    産後の骨盤矯正、いつ・何をすればいい?
    仙腸関節の7割以上に起きていることと、歪みを引き起こす5つの筋肉

    「産後は骨盤が開く」とよく言われますが、実際に何が起きているのか、そしてどの筋肉が骨盤のバランスを崩しているのかを、解剖学・運動学の視点でわかりやすく解説します。

    杉田友康院長
    一会整骨院 杉田友康院長コラム 横須賀市 / 柔道整復師

    出産は骨盤にとって非常に大きな出来事です。骨盤の要となる仙腸関節に、分娩時の圧力によって骨髄浮腫(こつずいふしゅ)が生じることが、実に約77%の方に起こります。

    また、妊娠中からリラキシンというホルモンが分泌されることで靭帯が緩み、仙腸関節の可動性が通常よりも大きくなっています。恥骨結合も分娩時に7〜10mm広がり、産後もしばらく緩んだ状態が続きます。

    77%
    産後に仙腸関節の
    骨髄浮腫が起きる確率
    43%
    産後トラブルが
    右側に出る割合
    7–10mm
    出産時の
    恥骨結合の開き

    骨や靭帯による安定性が低下すると、体は筋肉を緊張させて骨盤を支えようとします。しかし産後は体幹筋力が弱っているため、殿筋群が過剰に緊張し、仙腸関節に強い剪断力がかかって痛みが出やすくなります。


    骨盤の位置は骨だけで決まるわけではありません。周囲の筋肉が引っ張る力のバランスによって、骨盤は前傾・後傾・回旋などの「ずれ」を起こします。産後に特に注目すべき5つの筋肉を解説します。

    💪
    腸腰筋(ちょうようきん)腸骨筋+大腰筋の複合体
    起始:腰椎(L1-L5)・腸骨窩停止:大腿骨小転子作用:股関節屈曲・腰椎前弯の維持

    腸腰筋は腰椎と大腿骨をつなぐ唯一の筋肉です。短縮(タイト)すると腰椎を前方に引っ張り、骨盤を前傾させます。産後は抱っこや授乳の前傾姿勢が長時間続くため、腸腰筋が収縮位で固まりやすくなります。

    運動学的ポイント:腸腰筋の短縮→骨盤前傾→腰椎前弯増強→腰痛・仙腸関節への圧縮増大という連鎖が起きやすくなります。

    🦵
    大腿四頭筋(だいたいしとうきん)大腿直筋・外側・内側・中間広筋
    起始(大腿直筋):下前腸骨棘(AIIS)停止:膝蓋骨・脛骨粗面作用:膝関節伸展、股関節屈曲(大腿直筋のみ)

    4頭のうち大腿直筋は骨盤(下前腸骨棘)から起始する二関節筋です。タイトになると骨盤を前方へ引き下げ、前傾を強める働きをします。

    運動学的ポイント:産後は体幹が弱いため立ち上がりや階段昇降で大腿四頭筋への依存度が高まり、短縮しやすい状況です。膝の痛みと骨盤前傾が同時に出やすいのはこのためです。

    🦴
    内転筋群(ないてんきんぐん)恥骨筋・短内転筋・長内転筋・大内転筋・薄筋
    起始:恥骨・坐骨停止:大腿骨内側・脛骨内側作用:股関節内転・補助的な屈曲・伸展

    内転筋群は恥骨・坐骨から大腿骨へと広がるため、緊張すると骨盤底部を圧迫し、骨盤の左右非対称な引っ張りを生むことがあります。

    運動学的ポイント:出産時に股関節を大きく開いた状態が長く続くことで内転筋群が伸張ストレスを受け、その後防御的な過緊張に転じます。左右差が出ると骨盤の回旋・側方傾斜につながり、骨盤底機能の低下とも関係します。

    ⚙️
    中殿筋(ちゅうでんきん)骨盤の左右バランサー
    起始:腸骨翼の外面(前中後殿筋線の間)停止:大腿骨大転子作用:股関節外転・骨盤の水平保持

    片脚立ちや歩行時に骨盤を水平に保つ最重要筋です。産後は特に右の中殿筋が弱化しやすく(胎児の向きの影響)、機能低下すると歩行時に骨盤が傾く「トレンデレンブルグ徴候」が出ます。

    運動学的ポイント:中殿筋が弱化した側では、代償として腰方形筋や腸腰筋が過剰に働き、腰椎・仙腸関節への負担が増大します。産後骨盤矯正において中殿筋の再教育は最重要課題のひとつです。

    🔩
    腰方形筋(ようほうけいきん)腰椎の側面安定装置
    起始:腸骨稜・腸腰靭帯停止:第12肋骨・腰椎横突起(L1-L4)作用:体幹の側屈・腰椎伸展補助・骨盤の挙上

    腸骨稜から第12肋骨をつなぐ腰方形筋は、片側が緊張すると骨盤を同側に引き上げ、骨盤の左右高さの非対称(骨盤挙上)を生み出します。

    運動学的ポイント:中殿筋の弱化に対して腰方形筋が代償的に過活動になるケースが非常に多く、産後の腰痛の大きな原因のひとつです。腰方形筋単独をリリースしても中殿筋を同時に強化しないと再発しやすいため、当院では必ずセットでアプローチします。

    これら5つの筋肉は、骨盤前傾側と後傾側の”綱引き”をしています。産後はそのバランスが崩れやすく、特に以下の組み合わせが多く見られます。

    前傾を引き起こす筋肉(短縮・過緊張)
    • 腸腰筋(腰椎→骨盤を前に引く)
    • 大腿直筋(AIIS→大腿骨、骨盤前下方へ)
    • 腰方形筋(片側過活動で骨盤挙上+回旋)
    後傾・側方崩れを引き起こす筋肉(弱化・代償)
    • 中殿筋(弱化→骨盤の横ブレ・側方傾斜)
    • 内転筋群(左右差→骨盤回旋・底部の非対称)

    産後の骨盤トラブルは、両側均等に出るよりも片側(特に右側)に出やすいことが統計的にわかっています。

    右側に出やすい理由

    胎児は一般的に「左前方後頭位」(頭が左前を向いた姿勢)で産道を通ります。そのため産道通過時に右の骨盤・神経にストレスがかかりやすく、右の中殿筋の筋力が低下しやすい傾向があります。

    骨盤のねじれとして統計的に多いのは「右の寛骨が前傾・左の寛骨が後傾」というパターンです。腸腰筋や大腿直筋が右側で短縮し、右の腰方形筋が代償的に過緊張するという連鎖が右側の仙腸関節痛につながります。


    骨盤を安定させる根本的な力を再構築するには、産後3〜5ヶ月(12〜20週間)の継続的なケアが推奨されます。

    産後すぐ〜8週間 / 回復初期
    筋肉のリリース・呼吸の再教育
    痛みが強い時期はやさしいアプローチで過緊張を和らげます。腸腰筋・内転筋・腰方形筋の緊張を緩め、ストレッチポールや仰向け姿勢で骨盤の中立位(ニュートラル)を意識しながら骨盤底筋の軽い収縮から始めます。
    産後3〜4週〜8週以降 / 動的再構築期
    インナーマッスルの連動トレーニング
    腹横筋と骨盤底筋を呼吸と連動させるエクササイズへ移行します。体の内側からしっかりと骨盤を支える力をつけていく時期です。
    産後8週間以降 / 機能統合期
    中殿筋・大殿筋の再教育と強化
    弱化した中殿筋・大殿筋を段階的に強化します。同時に大腿四頭筋・内転筋の左右バランスを整え、抱っこや立ち座りなど育児の実際の動きに近いコントロールを獲得します。

    一会整骨院では、産後の骨盤矯正を「ただ骨盤を押す・はめる」ではなく、体の状態を確認しながら段階的に整える施術を大切にしています。

    1

    仙腸関節の不安定側を確認する

    仰向けで寛骨(ASIS)への加圧テストや、片足ずつ踵を5cmほど持ち上げる「足上げテスト」で左右どちらに不安定さがあるかをチェックします。

    2

    過緊張している筋肉をリリースする

    腸腰筋・大腿筋膜張筋・中殿筋・腰方形筋など、骨盤を引っ張っている筋肉を的確にゆるめます。矯正の前準備として欠かせないステップです。

    3

    仙腸関節の適切な誘導(骨盤矯正)

    横向きに寝た状態でハムストリングスを活用しながら骨盤を後傾方向へ誘導します。仙腸関節の可動域は2〜4mmほどとわずかですが、筋肉の収縮と多方向への力の誘導で正しいベクトルを引き出します。

    4

    骨盤ベルト・腹帯の正しい巻き方をご指導

    骨盤のねじれ方向に合わせてベルトを巻く向きが変わります。右が前傾なら「左から右」、左が前傾なら「右から左」へ。院内でご自身に合った方向をお伝えします。

    杉田友康院長

    産後から腰や股関節に痛みを感じるようになった方へ

    出産前のように痛みなく過ごしたい、育児を思い切り楽しみたい。そんな方は、ぜひ一度ご来院ください。お体の状態に合わせた施術プランをご提案します。

    予約・お問い合わせはこちら

    一会整骨院 / 横須賀市根岸町5-21-38 奥山ビル1F右 / TEL 046-845-9171