
こんにちは。神奈川県横須賀市根岸町の一会整骨院です。
「整形外科で坐骨神経痛と診断され、治療を受けているが良くならない」
「整体や鍼灸にも通ったが、右足の痺れが取れない」
「レントゲンでは異常がないと言われたのに、なぜ痛いのか分からない」
このような悩みを抱えて、当院に来られる方は少なくありません。
今回ご紹介するのは、整形外科で坐骨神経痛と診断され、様々な治療を受けても改善しなかった患者さんの症例です。詳しく検査をしたところ、痛みの原因は坐骨神経ではなく、過去の肋骨骨折による背骨の動きの制限と、足首の神経の問題にあることが分かりました。
この症例を通じて、なぜ一般的な坐骨神経痛の治療で良くならなかったのか、解剖学的・運動学的・神経学的な視点から詳しく解説します。
患者さんの症状と経過
40代の男性が、右のお尻から太もも裏にかけての痺れと痛みで来院されました。
整形外科での診断と治療
約5ヶ月前から症状が出始め、整形外科を受診。レントゲン検査を受け、「坐骨神経痛」と診断されました。腰椎に明らかな異常は見られず、痛み止めとシップを処方され、様子を見ることになりました。
しかし、症状は改善せず、むしろ徐々に悪化していきました。
整体・鍼灸での治療
整形外科での治療に限界を感じ、整体院に通い始めました。骨盤矯正や梨状筋へのアプローチを受け、施術直後は少し楽になるものの、翌日には元に戻ってしまう状態が続きました。
また、鍼灸院でも治療を受けました。お尻の筋肉(梨状筋)への鍼治療を数回受けましたが、やはり根本的な改善には至りませんでした。
「もう治らないのではないか」と諦めかけていた時に、HPをみて当院に来院されました。
当院での詳細な検査
来院時、患者さんは「坐骨神経痛だと言われているので、お尻や腰が悪いと思っている」とおっしゃいました。
しかし、私たちは「診断名」だけで判断せず、まず詳細な検査を行います。体全体を診ることで、本当の原因が見えてくるからです。
股関節の評価
坐骨神経痛の原因として、股関節の問題はよくあります。股関節が硬いと、その代償として腰や骨盤に負担がかかり、神経を圧迫することがあります。
そこで、まず股関節の可動域を詳しく評価しました。
屈曲(曲げる)、伸展(伸ばす)、外転(外に開く)、内転(内に閉じる)、外旋(外に回す)、内旋(内に回す)
股関節自体の動きは問題はありませんでしたが、深く屈曲することで鼠経部や臀部外側に痛みが出現しました。
前屈動作の評価
次に、立った状態で前屈をしていただきました。坐骨神経痛がある場合、前屈時に太ももの裏が突っ張ったり、痺れが強くなったりすることがあります。
しかし、この患者さんは、床に手が届くほど柔らかく、前屈での痛みや痺れの増強もありませんでした。
「股関節も前屈も問題ない。一般的な坐骨神経痛の特徴とは合わない」
ここで、別の視点から原因を探ることにしました。
問診での重要な情報
問診を詳しく行う中で、重要な情報が出てきました。
「そういえば、1年前に転倒して、肋骨を骨折したことがあります」
この情報が、原因を突き止める大きな手がかりとなりました。
原因1:肋骨骨折の後遺症による背骨の動きの制限
肋骨骨折の既往があると聞いて、すぐに背骨(胸椎)の動きを評価しました。
肋骨と背骨の関係
肋骨は、背骨の胸椎部分から出ています。正確には、胸椎の椎体と横突起に、肋骨が関節でつながっています。
この関節を「肋椎関節(ろくついかんせつ)」と呼びます。呼吸や体を捻る動作の時、この関節が微妙に動くことで、スムーズな動きが可能になります。
肋骨骨折後に何が起こるか
肋骨を骨折すると、その部分に炎症が起こります。そして、骨が癒合する過程で、周囲の組織(筋肉、靭帯、筋膜)が硬くなります。
また、痛みがあるため、体は無意識にその部分を動かさないようにします。これを「疼痛性防御」と言います。
数週間から数ヶ月、体を動かさないでいると、関節は硬くなります。肋椎関節も例外ではありません。肋骨と背骨の間の関節が硬く固まってしまうのです。
背骨の動きの評価
実際に背骨の動きを確認したところ、肋骨骨折をした側(右側)の胸椎中部から下部にかけて、明らかに動きが悪くなっていました。
座った状態で体を左右に捻ってもらうと、右に捻る時は問題ありませんが、左に捻る時(右側の背骨が伸ばされる方向)に、著しく制限がありました。
また、その部分を触診すると、肋椎関節周辺の筋肉(肋間筋、脊柱起立筋)が非常に硬く、圧痛がありました。
なぜ背骨の動きが悪いと坐骨神経痛のような症状が出るのか
ここで、運動学的な視点が重要になります。
人間の体は、一つのつながりで動いています。歩く時を想像してみてください。右足を前に出す時、骨盤は右に回旋し、背骨は左に回旋します。この「骨盤と背骨の逆方向への回旋」が、スムーズな歩行を生み出します。
しかし、背骨の一部(この患者さんの場合は右胸椎部)が硬くて動かないと、その上下の部分が過剰に動いて代償しなければなりません。
この患者さんの場合、胸椎が動かないため、腰椎が過剰に回旋していました。腰椎が過剰に動くと、腰椎から出る神経(坐骨神経の根元)が引っ張られたり、圧迫されたりします。
また、背骨全体のバランスが崩れることで、骨盤も歪みます。骨盤が歪むと、お尻の筋肉(梨状筋など)が過剰に緊張し、その下を通る坐骨神経を圧迫することもあります。
つまり、胸椎の動きの制限が、間接的に腰椎や骨盤に影響を与え、坐骨神経痛のような症状を引き起こしていたのです。
原因2:足首の神経の問題
さらに詳しく検査を進める中で、もう一つ重要な発見がありました。
足首の神経の走行
坐骨神経は、膝の裏あたりで「脛骨神経」と「総腓骨神経」の2本に分かれます。
脛骨神経は、ふくらはぎの深層を通り、足首の内側(内果の後ろ)を通過して、足の裏に向かいます。この足首の内側を通る部分を「足根管(そっこんかん)」と呼びます。
足根管は、骨と靭帯で囲まれた狭いトンネルです。この狭いトンネルの中を、脛骨神経だけでなく、血管や腱も一緒に通っています。
くるぶしの下に圧痛を発見
患者さんの右足首を詳しく触診したところ、外くるぶし(外果)のすぐ下、やや後ろ側に、強い圧痛がありました。
この場所は、まさに腓骨神経が通るの位置です。
押すと「そこです!そこが痛いです!」と患者さんは驚かれました。ご自身でも、その部分に問題があるとは思っていなかったようです。
さらに、その部分の組織は非常に硬く、周辺の柔軟性も失われていました。まるで石のように固まっていました。
なぜ足首の神経が問題になるのか
神経は、脳から足先まで、一本の連続した線としてつながっています。この長い神経の経路のどこか一箇所でも問題があると、その影響は全体に及びます。
足首で神経が圧迫されたり、周囲の組織と癒着して引っ張られたりすると、その張力は神経全体に伝わります。
ギターの弦を想像してみてください。弦の一部を強く引っ張ると、弦全体に張力が伝わり、別の場所でも弦が引っ張られた状態になります。神経も同じです。
この患者さんの場合、足首の足根管で脛骨神経が圧迫され、組織と癒着していました。この部分で神経が引っ張られることで、その上のお尻や太ももの部分でも神経が過度に緊張した状態になり、痺れや痛みを引き起こしていたのです。
二重の絞扼(こうやく)
医学的には、この状態を「ダブルクラッシュ症候群」または「二重絞扼症候群」と呼びます。
神経の経路の複数の場所で圧迫や絞扼が起こると、症状は単独の絞扼よりも著しく悪化します。
この患者さんの場合、背骨の動きの制限による腰椎での神経への影響と、足首での神経の圧迫という、二つの問題が同時に存在していました。
なぜ一般的な坐骨神経痛の治療で良くならなかったのか
ここまでの検査と分析で、この患者さんの症状が改善しなかった理由が明らかになりました。
お尻や腰だけを診ていた
整体や鍼灸では、「坐骨神経痛=お尻や腰の問題」という前提で治療が行われていました。梨状筋をほぐす、骨盤を矯正する。確かにこれらは坐骨神経痛の一般的な治療法です。
しかし、この患者さんの本当の原因は、胸椎(背骨)と足首にありました。
お尻や腰は、原因ではなく「結果」として症状が出ている場所だったのです。いくら結果を治療しても、原因が残っていれば、症状は改善しません。
全身を診る視点の重要性
人間の体は、すべてがつながっています。足首の問題が腰に影響し、胸椎の問題が骨盤に影響する。
解剖学的、運動学的、神経学的な視点から全身を診ることで、初めて本当の原因が見えてきます。
「木を見て森を見ず」ということわざがありますが、痛みのある部分だけを診ていては、真の原因を見逃してしまいます。
当院での治療アプローチ
原因が特定できたので、治療方針が明確になりました。
胸椎の可動域改善
まず、硬くなった胸椎の動きを改善することから始めました。
肋椎関節のモビライゼーション
肋骨と背骨の間の関節に対して、優しく正確なモビライゼーション(関節を動かす手技)を行いました。ボキボキと音を鳴らすような強い矯正ではなく、呼吸に合わせて優しく誘導する手技です。
また、肋間筋(肋骨の間の筋肉)や脊柱起立筋など、硬くなった筋肉を丁寧にリリースしました。
胸椎の回旋運動の再学習
関節の動きが改善しても、長期間動かしていなかった体は、どう動かせば良いかを忘れています。
そこで、座った状態で体を左右に捻る運動を、意識的に行っていただきました。最初は動きが小さく、ぎこちなかったのですが、繰り返すうちに徐々にスムーズになっていきました。
足首の神経リリース
次に、足首の足根管での神経の圧迫と癒着を解消する治療を行いました。
足根管周辺の組織リリース
内くるぶしの下の硬くなった組織を、優しくリリースしていきます。この部分は非常にデリケートなので、強い圧は禁物です。
浅い層から徐々に深層へ、段階的にアプローチしていきます。
神経フロッシング
神経と周囲の組織の癒着を剥がすために、「神経フロッシング」という手技を用いました。
これは、神経を無理に引っ張るのではなく、優しく滑らせることで癒着を剥がす方法です。
具体的には、足首と膝を特定の順序で動かすことで、坐骨神経の末端を滑らせます。患者さんにも、ご自宅でできる神経フロッシングの運動を指導しました。
全身のバランス調整
胸椎と足首という二つの主要な問題に対処した上で、全身のバランスも調整しました。
長期間、胸椎が動かない状態で生活していたため、腰椎や骨盤、股関節など、他の部位も代償的に歪んでいました。これらも一つずつ調整していきます。
この症例から学ぶべきこと
この症例は、改めて徒手療法家に重要な教訓を与えてくれます。
診断名に囚われない
「坐骨神経痛」という診断名がついても、その原因は様々です。お尻の筋肉の問題、腰椎の問題、股関節の問題、そしてこの症例のように、胸椎や足首の問題であることもあります。
診断名だけで治療法を決めるのではなく、一人ひとりの体を詳しく評価し、その人固有の原因を見つけることが重要です。
過去の怪我の影響を見落とさない
この患者さんの場合、1年前の肋骨骨折が重要な手がかりでした。
過去の怪我や手術は、その時は治ったように見えても、後遺症として体に影響を残すことがあります。問診で過去の怪我の履歴を詳しく聞くことの重要性を、この症例は教えてくれます。
全身を診る重要性
痛みや痺れがある場所だけを診ていては、真の原因を見逃します。
解剖学的に体はどうつながっているのか、運動学的にどう影響し合っているのか、神経はどう走っているのか。これらの視点から全身を診ることで、初めて原因が見えてきます。
複数の原因が重なっていることもある
この症例では、胸椎の問題と足首の問題という、二つの原因が重なっていました。
一つの原因だけを治療しても、もう一つが残っていれば、完全な改善は難しいでしょう。すべての原因を見つけ、一つずつ対処していくことが、根本的な改善には不可欠です。
まとめ
整形外科で坐骨神経痛と診断され、整体や鍼灸でも改善しなかった右足の痺れ。
詳しく検査したところ、原因は一般的な坐骨神経痛の原因(お尻や腰)ではなく、過去の肋骨骨折による背骨の動きの制限と、足首での神経の圧迫と癒着にありました。
解剖学的、運動学的、神経学的な視点から全身を詳しく評価することで、初めて本当の原因が見えてきます。
「なかなか良くならない」と諦める前に、本当の原因を探してみませんか?
当院では、痛みや痺れのある部分だけでなく、全身を詳しく評価し、あなた固有の原因を見つけ出します。そして、その原因に対して、最適なアプローチを行います。
長引く坐骨神経痛、様々な治療を試しても改善しない症状でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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