ブロック注射だけでは腰痛は根本改善しない?一会整骨院が解説します

    こんにちは。神奈川県横須賀市根岸町の一会整骨院です。

    「整形外科でブロック注射を打ってもらったけど、数日したらまた痛みが戻ってきた」
    「何度もブロック注射を繰り返しているけど、良くなる気配がない」

    このようなお悩みで当院にご相談に来られる方が非常に多くいらっしゃいます。ブロック注射は確かに痛みを和らげる効果的な治療法ですが、それだけでは根本的な改善にはつながりません

    結論から言うと、ブロック注射は短期的な疼痛緩和には有効だが、長期的な機能改善や根本治療にはならない

    今回は、整形外科で行われるブロック注射の種類と効果、そして当院での根本改善アプローチについて、医学的根拠とともに詳しく解説します。


    目次

    1. ブロック注射とは?その種類と特徴
    2. ブロック注射の効果と持続期間
    3. なぜブロック注射だけでは根本改善しないのか
    4. ブロック注射と併用すべき根本治療
    5. 一会整骨院での根本改善アプローチ

    ブロック注射とは?その種類と特徴

    ブロック注射とは、痛みを伝える神経の近くに局所麻酔薬やステロイド(抗炎症薬)を注射することで、痛みの伝達を遮断(ブロック)する治療法です。整形外科領域では、腰痛や坐骨神経痛に対して広く用いられています。

    1. 硬膜外ブロック注射

    どんな注射?
    背骨の中にある硬膜(脊髄を包む膜)の外側のスペース(硬膜外腔)に、局所麻酔薬とステロイドを注入する方法です。

    適応される症状

    • 腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛
    • 腰部脊柱管狭窄症
    • 腰椎すべり症
    • 広範囲の腰痛・下肢痛

    注射の方法

    • 腰部または仙骨部から針を刺入
    • エックス線透視下や超音波透視で行うことが多い
    • 入院不要で外来で実施可能

    硬膜外ブロックは短期的(3ヶ月未満)な疼痛緩和に有効であるとされています。特に急性期から亜急性期の症状に効果が認められています。ただし、長期的な機能改善や手術回避効果については限定的であると報告されています。

    2. 神経根ブロック注射

    どんな注射?
    痛みの原因となっている特定の神経根(脊髄から枝分かれする神経)に直接、局所麻酔薬とステロイドを注射する方法です。

    適応される症状

    • 特定の神経根が圧迫されている椎間板ヘルニア
    • 片側の下肢痛が強い場合
    • 診断的ブロック(どの神経が原因かを特定)

    注射の方法

    • ピンポイントで神経根に到達
    • より専門的な技術が必要
    • 多くの患者さんが整形外科で注射を受ける際はブロック注射が多いと思います

    神経根ブロックは短期的(2週間〜3ヶ月)な疼痛緩和に有効であり、特に椎間板ヘルニアによる急性期の激しい痛みに効果的とされています。長期的効果(6ヶ月以上)については、プラセボと有意な差がないと結論づけています。

    3. 仙腸関節ブロック注射

    どんな注射?
    骨盤の仙腸関節内または関節周囲に局所麻酔薬を注射する方法です。

    適応される症状

    • 仙腸関節性の腰痛・臀部痛
    • 片側の臀部から大腿後面の痛み


    治療的効果は限定的であり、6ヶ月以内に症状が再発するケースが多いと報告されています。

    4. トリガーポイント注射

    どんな注射?
    筋肉内の硬結(トリガーポイント)に直接、局所麻酔薬を注射する方法です。

    適応される症状

    • 筋筋膜性疼痛症候群
    • 局所的な筋肉の痛み
    • 慢性的な筋緊張

    トリガーポイント注射は短期的な疼痛緩和には有効であるが、長期的効果については他の保存療法と比較して明確な優位性は示されていないとされています。


    ブロック注射の効果と持続期間

    効果のメカニズム

    ブロック注射が痛みを和らげる仕組みは以下の通りです:

    1. 即効性の疼痛緩和
    • 局所麻酔薬が神経の痛み伝達を一時的に遮断
    • 注射後数分〜数時間で効果が現れる
    1. 炎症の抑制
    • ステロイドが神経周囲の炎症を抑える
    • 数日かけて効果が高まる
    1. 痛みの悪循環の遮断
    • 痛み→筋緊張→血行不良→痛みの悪循環を断ち切る
    • 一時的に体を動かしやすくする

    効果の持続期間

    医学的データに基づく持続期間

    ブロックの種類効果持続期間医学的根拠
    硬膜外ブロック数日〜3ヶ月Manchikanti et al. (2012)
    神経根ブロック2週間〜3ヶ月Abdi et al. (2007)
    仙腸関節ブロック数週間〜6ヶ月Kennedy et al. (2015)
    トリガーポイント注射数日〜数週間Cummings & White (2001)

    個人差が大きい理由

    • 症状の原因(ヘルニア、狭窄症、筋肉性など)
    • 症状の期間(急性期か慢性期か)
    • 炎症の程度
    • 生活習慣や身体の使い方
    • 併用療法の有無

    ブロック注射の限界

    医学的に認められている限界

    Friedly et al. (2014)のNEJMに掲載された大規模研究では:

    • 硬膜外ステロイド注射群とプラセボ群で、6週間後の機能改善に有意差なし
    • 1年後の手術率にも差がなかった

    この研究結果は、ブロック注射は短期的な疼痛緩和には有効だが、長期的な機能改善や根本治療にはならないことを示しています。


    なぜブロック注射だけでは根本改善しないのか

    理由1:痛みの原因に対処していない

    ブロック注射は「痛みの信号を遮断する」対症療法であり、痛みを引き起こしている根本原因には対処していません。

    具体例

    • ヘルニア:飛び出した椎間板はそのまま
    • 姿勢の歪み:骨盤や脊椎の歪みは改善されない
    • 筋力低下:衰えた体幹筋は弱いまま
    • 筋肉の硬さ:トリガーポイントや筋膜の癒着は残る
    • 動作パターン:痛みを引き起こす体の使い方は変わらない

    理由2:効果は一時的である


    1997年に行われたランダム化比較試験では、硬膜外ステロイド注射を受けた患者の約60%が3ヶ月以内に症状が再発したと報告されています。

    なぜ再発するのか?

    • 局所麻酔薬の効果は数時間で切れる
    • ステロイドの抗炎症効果も数週間〜数ヶ月で減弱
    • 根本原因(姿勢、筋力、動作パターン)が改善されていない

    理由3:繰り返しのリスク

    ブロック注射、特にステロイドを含むものを頻繁に繰り返すことには以下のリスクがあります:

    ステロイドの副作用

    • 骨密度の低下(骨粗鬆症のリスク)
    • 血糖値の上昇
    • 感染リスク
    • 腱や靭帯の脆弱化

    医学的根拠
    Radcliff et al. (2012)の研究では、年間3回以上の硬膜外ステロイド注射は、骨折リスクの増加と関連していることが示されています

    理由4:注射への依存

    痛みが出るたびに注射で対処する習慣がつくと:

    • 自身の治癒力が活性化されない
    • 根本的な生活習慣の改善が後回しになる
    • 痛みに対する不安が増大(注射がないと動けないという心理)

    ブロック注射と併用すべき根本治療

    医学的に推奨される併用療法

    慢性疼痛ガイドラインでは、腰痛に対して以下の組み合わせが推奨されています:

    1. 運動療法
    2. 徒手療法(マニュアルセラピー)
    3. 心理社会的アプローチ
    4. 患者教育

    つまり、注射はあくまでも限定的、痛みを改善させるには徒手療法が必要不可欠という事です。
    実際に当院で痺れを改善された患者さんの声はこちら

    Chou et al. (2017)のAmerican College of Physiciansのガイドラインでも、非薬物療法を第一選択とし、注射などの侵襲的治療は補助的に用いるべきとされています。


    一会整骨院での根本改善アプローチ

    当院では、痛みや痺れが強くブロック注射を受けながら通院される方も多数いらっしゃいます。
    一時的ですが炎症を軽減することが出来ますし、注射自体は否定しません。

    ただし、痛みや痺れの根本原因に対してアプローチしない限り、症状は繰り返し防ぎ、どんどん慢性的に悪化してしまいます。

    1. 詳細な原因分析

    なぜ痛みが出ているのか?

    • 姿勢評価(静的・動的)
    • 骨盤・脊椎アライメントチェック
    • 筋力バランステスト
    • 柔軟性評価
    • 動作パターン分析
    • 生活習慣・仕事環境の確認

    2. 骨格の歪み改善

    なぜ重要か?
    骨格の歪みは、特定の部位への過度な負担を生み出し、痛みの原因となります。

    当院のアプローチ

    • 骨盤の前後傾・回旋の修正
    • 仙腸関節の可動性改善
    • 腰椎アライメントの調整
    • 胸椎の可動性向上(代償動作の軽減)

    科学的根拠
    Bronfort et al. (2010)のコクランレビューでは、脊椎マニピュレーション(徒手療法)は、急性および慢性腰痛に対して中等度の効果があると結論づけています

    3. 筋膜・トリガーポイントへのアプローチ

    なぜ重要か?
    筋膜の癒着やトリガーポイントは、神経を刺激し、痛みを引き起こします。ブロック注射だけでは、これらの軟部組織の問題は改善されません。

    当院のアプローチ

    • 筋膜リリース
    • トリガーポイントの解放
    • 筋肉の柔軟性改善
    • 末梢神経の滑走性向上

    科学的根拠
    Ajimsha et al. (2015)のメタアナリシスでは、筋膜リリース療法が慢性腰痛の疼痛軽減と機能改善に有効であることが示されています。

    4. 運動療法・筋力再教育

    なぜ重要か?
    痛みによる運動回避や不良姿勢により、体幹筋が衰えます。これが症状の慢性化と再発の主な原因です。

    当院のアプローチ

    • インナーマッスル(腹横筋、多裂筋)の活性化
    • アウターマッスル(大殿筋、中殿筋)の強化
    • 動作パターンの再教育
    • 段階的な負荷増加

    科学的根拠
    Hayden et al. (2005)のコクランレビューでは、運動療法が慢性腰痛に対して疼痛軽減と機能改善に有効であることが明確に示されています。

    特に、Hides et al. (2001)の研究では、多裂筋の特異的トレーニングが腰痛の再発率を有意に低下させたと報告されています。

    5. 生活習慣・動作指導

    日常生活での負担軽減

    • 正しい座り方・立ち方
    • 物の持ち上げ方
    • 睡眠環境の改善
    • 仕事環境の調整

    ブロック注射を受けている方へ

    ブロック注射を否定するわけではありません

    ブロック注射は、以下のような場合に非常に有効です:

    • 激しい痛みで日常生活が困難
    • 痛みで全く動けない
    • 早期に痛みを和らげる必要がある
    • リハビリを始めるための準備

    大切なのは「併用」です

    理想的な治療の流れ

    1. 急性期(激痛期)
    • ブロック注射で痛みを和らげる
    • 安静と適度な活動のバランス
    1. 亜急性期(痛みが和らいだ時期)
    • 整骨院での根本治療開始
    • 骨格調整、筋膜リリース
    • 軽い運動療法
    1. 慢性期(安定期)
    • 運動療法の強化
    • セルフケアの習慣化
    • 定期的なメンテナンス
    1. 予防期
    • 月1回程度のメンテナンス
    • セルフケアの継続
    • 生活習慣の維持

    症例紹介

    症例1:繰り返すブロック注射から脱却した50代男性

    来院時の状況

    • 2年間で硬膜外ブロックを12回実施
    • 効果は数日で消失
    • 「注射なしでは生活できない」という不安

    当院での評価

    • 骨盤の前傾が強く、腰椎の過前弯
    • 腸腰筋の過緊張と大殿筋の筋力低下
    • 多裂筋の萎縮

    施術内容

    • 骨盤傾斜の修正
    • 腸腰筋・梨状筋のリリース
    • 多裂筋・腹横筋の活性化
    • 動作指導

    経過
    8回の施術で日常生活に支障がないレベルまで改善。その後6ヶ月間、ブロック注射なしで過ごせている。

    症例2:神経根ブロック後に根本治療を開始した40代女性

    来院時の状況

    • 右足の坐骨神経痛
    • 神経根ブロックで一時的に改善するも1ヶ月で再発
    • 3回の注射を実施

    当院での評価

    • 仙腸関節の機能障害
    • 中殿筋のトリガーポイント
    • フラットバック姿勢。フラットバック(平背)とは、背骨のカーブが少なく横から背骨を見ると背中から腰がまっすぐになっている状態を指します。

    施術内容

    • 仙腸関節の調整
    • 中殿筋のトリガーポイント治療
    • 僧帽筋下部へのエクササイズ、体幹筋力強化

    経過
    6回の施術で症状が大幅に改善。以降3ヶ月間、再発なし。注射への依存から脱却できた。


    よくある質問

    Q1. ブロック注射を受けながら整骨院に通えますか?

    A. はい、むしろ推奨します。注射で痛みが和らいでいる間に運動療法や施術を行うことで、体に負担すくなく症状を改善が期待できます。本来は注射で痛みを抑える+徒手治療がベストです。

    Q2. ブロック注射を何回も打っていますが、今からでも根本改善できますか?

    A. はい、可能です。注射の回数に関わらず、根本原因にアプローチすることで改善は期待できます。ただし、長期間注射に依存していた場合、症状が慢性化している、または筋力低下が進んでいることが多いため、改善には時間がかかる可能性があります。

    Q3. どのくらいで注射が必要なくなりますか?

    A. 個人差がありますが、多くの方が8〜12回の施術で、注射なしで日常生活を送れるようになっています。直近の患者さんの統計です。症状の程度や生活習慣によって異なります。

    Q4. ブロック注射をやめるタイミングは?

    A. 一般的には以下のような状況で注射の間隔を空けていきます:

    • 日常生活での痛みが軽減している
    • 注射の効果持続期間が延びてきた
    • 運動療法が順調に進んでいる

    まとめ:ブロック注射は「入口」、根本治療は「出口」

    ブロック注射は、激しい痛みから抜け出すための「入口」として非常に有効な治療法です。しかし、痛みのない生活を長期的に維持するための「出口」は、根本的な体の改善にあります。

    当院では:

    • ✓ 骨格の歪みを根本から改善
    • ✓ 筋膜・筋肉の問題に直接アプローチ
    • ✓ 衰えた筋力を再教育
    • ✓ 痛みを引き起こす動作パターンを修正
    • ✓ 再発予防のための生活指導

    「ブロック注射を繰り返している」
    「注射の効果が持続しない」
    「根本から良くなりたい」

    そんな方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
    医学的根拠に基づいた根本治療で、注射に頼らない体づくりをサポートします。


    ご予約・お問い合わせ

    一会整骨院

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    🅿️ 駐車場:[オートパーキング横須賀57.58に2台分]


    参考文献

    Manchikanti L, et al. (2012). Effectiveness of lumbar epidural injections in managing chronic spinal pain: a systematic review. Pain Physician, 15(4), E363-404.

    Chou R, et al. (2015). Epidural corticosteroid injections for radiculopathy and spinal stenosis: a systematic review and meta-analysis. Annals of Internal Medicine, 163(5), 373-381.

    Abdi S, et al. (2007). Epidural steroids in the management of chronic spinal pain: a systematic review. Pain Physician, 10(1), 185-212.

    Staal JB, et al. (2008). Injection therapy for subacute and chronic low-back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews, (3), CD001824.

    Friedly JL, et al. (2014). A randomized trial of epidural glucocorticoid injections for spinal stenosis. New England Journal of Medicine, 371(1), 11-21.

    Carette S, et al. (1997). Epidural corticosteroid injections for sciatica due to herniated nucleus pulposus. New England Journal of Medicine, 336(23), 1634-1640.

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    Chou R, et al. (2017). Nonpharmacologic therapies for low back pain: a systematic review for an American College of Physicians clinical practice guideline. Annals of Internal Medicine, 166(7), 493-505.

    Bronfort G, et al. (2010). Effectiveness of manual therapies: the UK evidence report. Chiropractic & Osteopathy, 18(1), 3.

    Ajimsha MS, et al. (2015). Effectiveness of myofascial release: systematic review of randomized controlled trials. Journal of Bodywork and Movement Therapies, 19(1), 102-112.

    Hayden JA, et al. (2005). Exercise therapy for treatment of non-specific low back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews, (3), CD000335.

    Hides JA, et al. (2001). Long-term effects of specific stabilizing exercises for first-episode low back pain. Spine, 26(11), E243-248.

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