
こんにちは。神奈川県横須賀市根岸町の一会整骨院です。
「坐骨神経痛には梨状筋をほぐせば良い」 「お尻のストレッチをすれば改善する」
このような情報をインターネットや雑誌で見かけることが多いですが、実は大きな落とし穴があります。
実際に当院には、「梨状筋をほぐしたら余計に痛くなった」「ストレッチをしたら悪化した」というご相談がちょくちょく聞きます。
今回は、梨状筋の治療において最も重要な「骨盤の傾き」との関係について、専門的かつ分かりやすく解説します。この知識があるかないかで、治療の成否が決まると言っても過言ではありません。
梨状筋とは?基本を理解する
梨状筋の位置と役割
位置
- お尻の深層にある筋肉
- 仙骨(骨盤の中央の骨)から大腿骨(太ももの骨)の大転子までつながる
- 大殿筋の深層に位置
具体的な付着部
- 起始:仙骨の前面(第2〜4仙椎)
- 停止:大腿骨の大転子(太ももの骨の外側の出っ張り)
役割
- 股関節の外旋(足を外に開く動き)
- 股関節の安定化
- 歩行時のバランス維持
なぜ梨状筋が注目されるのか?
坐骨神経との関係
梨状筋が注目される最大の理由は、坐骨神経が梨状筋の下を通ることです。
坐骨神経の走行
- 腰椎から出る
- 骨盤内を通る
- 梨状筋の下を通過(ここが重要!)
- お尻から太ももへ
つまり、梨状筋が硬くなったり、腫れたりすると、その下を通る坐骨神経が圧迫され、痛みやしびれが生じます。これを「梨状筋症候群」と呼びます。
一般的な梨状筋治療の問題点
多くの治療院や整体、セルフケア情報では、以下のようなアプローチが推奨されています:
よく見る治療法
- 梨状筋をマッサージでほぐす
- テニスボールでお尻を圧迫
- お尻のストレッチ
- 梨状筋リリース
これらは間違いではありませんが、不十分です。
なぜ不十分なのか?
これらの治療法は、梨状筋が「短縮(縮んで硬くなっている)」という前提で行われます。
しかし実際には:
- 梨状筋が短縮している人
- 梨状筋が伸張(引き伸ばされている)している人
の両方がいるのです。
伸張している梨状筋をさらにストレッチしたら? → 余計に引き伸ばされて悪化します
短縮している梨状筋を無理に収縮させたら? → さらに硬くなり悪化します
骨盤の傾きが梨状筋の状態を決める
ここが最も重要なポイントです。
梨状筋が短縮しているか、伸張しているかは、骨盤の傾きで決まります。
骨盤の傾きの種類
骨盤には主に2つの傾きがあります:
1. 骨盤前傾
- 骨盤が前に傾く
- 腰が反りやすい
- お尻が突き出た姿勢
2. 骨盤後傾
- 骨盤が後ろに傾く
- 腰が丸まりやすい
- お尻が引っ込んだ姿勢
骨盤前傾と梨状筋の関係
骨盤前傾時の梨状筋の状態
何が起こるか?
骨盤が前傾すると:
- 仙骨が前に傾く(ニューテーション)
- 仙骨の上部が前方に、下部(尖端)が後方に移動
- 梨状筋の起始部(仙骨前面)が大転子から遠ざかる
- 梨状筋の起始部と停止部の距離が長くなる
- 梨状筋が伸張される
伸張された梨状筋の特徴
症状
- お尻から太ももにかけての痛み
- 立位や歩行で症状が悪化
- 股関節を外旋(外側に捻る)すると痛い
- 梨状筋を押すと鋭い痛み(過敏)
筋肉の状態
- 常に引き伸ばされている
- 疲労している
- 弱化している可能性
- それでも坐骨神経を圧迫(引っ張られて腫れる)
股関節が柔らかいのに、梨状筋部に痛みがある患者さんに多く見られます。この場合、ほぐすだけの施術を行うとかえって痛みが増すことがあります。
骨盤前傾時の適切な治療
✓ すべきこと
- 梨状筋を”ほぐさない”・ストレッチしない
- すでに伸張されているので、さらに伸ばすのは逆効果
- 優しく血流を改善する程度に
- 骨盤前傾の改善
- 腸腰筋のストレッチ(前傾の原因筋)
- 大腿直筋のストレッチ
- 腹筋群の強化(骨盤を後傾方向に戻す)
- 骨盤を適切な位置に戻す
- 梨状筋の強化
- 弱化している可能性があるため、適度な筋力トレーニング
- 股関節外旋の運動
✗ してはいけないこと
- 梨状筋の過度なストレッチ(悪化する!)
- テニスボールでの強い圧迫
- 深いマッサージ
骨盤後傾と梨状筋の関係
骨盤後傾時の梨状筋の状態
何が起こるか?
骨盤が後傾すると:
- 仙骨が後ろに傾く(カウンターニューテーション)
- 仙骨の上部が後方に、下部(尖端)が前方に移動
- 梨状筋の起始部(仙骨前面)が大転子に近づく
- 梨状筋の起始部と停止部の距離が短くなる
- 梨状筋が短縮する
短縮した梨状筋の特徴
症状
- お尻の深部の痛み
- 座位で症状が悪化(お尻が圧迫される)
- 股関節を内旋(内側に捻る)すると痛い
- 梨状筋を押すと強い痛み
筋肉の状態
- 縮んで硬くなっている
- 緊張が高い
- 血流が悪い
- 坐骨神経を圧迫しやすい
骨盤後傾時の適切な治療
✓ すべきこと
- 梨状筋をほぐす・ストレッチ
- 短縮しているので、伸ばす必要がある
- マッサージで緊張を緩和
- ストレッチで筋肉を伸ばす
- 骨盤後傾の改善
- ハムストリングスのストレッチ(後傾の原因筋)
- 大殿筋の活性化
- 腸腰筋の強化
- 骨盤を前傾方向に戻す
- 梨状筋のリリース
- テニスボールでの圧迫も有効
- トリガーポイント治療
✗ してはいけないこと
- 梨状筋を収縮させすぎる運動
- 過度な刺激(炎症悪化)
- ストレッチをしないこと(硬いままになる)
一会整骨院での評価・治療アプローチ
当院では、梨状筋の治療において以下のステップを必ず踏みます。
ステップ1:詳細な評価
姿勢分析
- 立位姿勢の確認
- 骨盤の前後傾・左右傾斜・回旋の評価
- 腰椎のカーブの確認
触診
- 梨状筋の硬さ・圧痛
- 短縮しているか、伸張されているかの判断
- 周辺筋肉の状態
動作テスト
- 股関節の可動域
- どの動きで痛みが出るか
- 梨状筋テスト
ステップ2:骨盤の傾きに応じた治療
骨盤前傾の場合
- 腸腰筋・大腿直筋のストレッチ
- 腹筋群の強化
- 骨盤の前傾を改善
- その上で梨状筋のリリース・ストレッチ
骨盤後傾の場合
- ハムストリングスのストレッチ
- 大殿筋の活性化
- 骨盤を前傾方向に調整
- 梨状筋は優しく血流改善のみ
- 必要に応じて梨状筋の強化
ステップ3:再発予防
セルフケア指導
- 骨盤の傾きを維持する体操
- 正しい座り方・立ち方
- 自宅でできるストレッチ
生活習慣改善
- デスクワーク時の姿勢
- 睡眠姿勢
- 運動習慣
まとめ:梨状筋治療で最も大切なこと
重要ポイント
- 梨状筋をほぐせば良いわけではない
- 骨盤の傾きによって筋肉の状態が変わる
- 骨盤前傾 → 梨状筋伸張 → ほぐすと悪化の危険
- ストレッチは厳禁
- 骨盤の傾きを改善することが優先
- 骨盤後傾 → 梨状筋短縮 → ほぐす・ストレッチが有効
- マッサージ、ストレッチ、リリースが適切
- 骨盤の傾きの改善が根本治療
- 梨状筋だけの治療は対症療法
- 骨盤を治さないと再発する
- 専門家の正確な評価が不可欠
- 自己判断でのストレッチは危険
- 状態に応じた適切なアプローチが必要
こんな方はぜひご相談ください
- お尻のストレッチをしたら悪化した
- マッサージを受けても改善しない
- 梨状筋症候群と診断されたが良くならない
- 坐骨神経痛が慢性化している
- 自分の骨盤の傾きを知りたい
- 正しい治療法を知りたい
最後に
梨状筋の治療は、「ほぐせば良い」という単純なものではありません。
骨盤の傾きという根本原因を見極め、それに応じた適切なアプローチをしなければ、改善しないどころか悪化する危険すらあります。
当院では、一人ひとりの骨盤の状態を正確に評価し、最適な治療プランをご提案します。
「今まで色々試したけど良くならない」 「自分に合った治療法を知りたい」 「根本から改善したい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
