意外と知らない膝の手術と入院期間について

    こんにちは、横須賀市根岸町の一会整骨院です。今回は膝の手術と入院期間についてお伝えしていきます。
    当然、手術をしない事に越したことはないですし、私もそうならないように全力で施術に臨んでいます。

    しかし、膝の状態が悪く保存療法で回復が見られない方もいます。そんな患者様へのブログとなります。

    変形性膝関節症の手術による入院期間は、手術の種類によって大きく異なります。手術はあくまでも最終手段で、まずは保存療法が第一選択ですので、その点にもご注意いただきながら、本記事では患者さん向けにエビデンスに基づいた内容を解説します。

    変形性膝関節症の治療の流れ

    変形性膝関節症の治療は、まず保存療法(リハビリテーション、薬物療法、装具療法など)が基本です。保存療法を数カ月から1年ほど行っても効果が得られず、痛みが強くて日常生活に支障が出ている場合にはじめて手術が検討されます。

    代表的な手術方法と適応

    手術には大きく分けて、以下の3種類があります。適応や年齢、重症度により選択されます。

    • 関節鏡視下手術(初期~中期の軽症例、体の負担が少ない)
    • 脛骨骨切り術(初期~中期、40~60代など比較的若い方)
    • 人工関節置換術(末期、70代以上など高齢者に多い)

    手術ごとの入院期間とリハビリ期間、適応について

    手術方法入院期間リハビリ期間ポイント
    関節鏡視下手術約1週間数日~2週間早期復帰可能、根本治療ではない
    脛骨骨切り術約4週間約3カ月自関節温存、リハビリ長期
    人工膝関節置換術(TKA)2週間~2カ月1~3カ月痛み大幅改善、再手術必要な場合あり
    手術方法適応する主な状態代表的な患者像
    関節鏡視下手術軽度の変形・半月板損傷・炎症初期、比較的若年
    脛骨骨切り術初期~中期・O/X脚・関節温存希望40~60代、活動性重視
    人工関節置換術末期・著しい骨変形・激しい痛み高齢、歩行困難、保存療法無効

    関節鏡視下手術

    • 軽度の関節内の損傷を掃除する手術で、体の負担が非常に小さいのが特徴です。
    • 入院期間は1週間程度、術後すぐに歩行でき、多くは早期に日常生活へ復帰できます。

    関節鏡視下手術の適応

    • 適応:変形の進行が軽度~初期、痛みや炎症が主な症状の場合
    • 状態・ケガ半月板損傷や遊離体が原因で膝内部を「掃除」する必要がある場合
    • ポイント:根本的治療ではなく、炎症や引っ掛かり、痛みの緩和が主目的
    • 患者像:保存療法で改善しない初期の変形性膝関節症、比較的年齢が若め

    脛骨骨切り術

    • 自分の関節を温存できるため、中等度で活動性の高い若い方に適応されます。
    • 入院期間は約4週間、その後、約3カ月間はしっかりとリハビリが必要です。
    • リハビリは歩行能力回復や筋力増強のため行い、患者ごとに期間に幅があります。

    脛骨骨切り術の適応

    • 適応:変形性膝関節症の初期から中期。関節が片側に偏ってすり減っている(O脚やX脚)
    • 状態・ケガ:「自分の関節をできるだけ温存したい」中年の方や活動量の多い方(40~60代)
    • ポイント:下肢のアライメント(軸)を矯正し、膝への負担のバランスを整えるために実施
    • 患者像:骨の癒合が比較的良い年齢層、スポーツ復帰など活動性を重視する方

    人工膝関節置換術(TKA)

    • 関節全体を人工関節に置き換える大きな手術です。末期で痛みが強い方、高齢者が適応になります。
    • 入院期間は2週間から2カ月程度、リハビリは1カ月~3カ月が目安です。
    • 手術によって痛みや骨の変形は大きく改善しますが、正座や激しい運動が難しくなる等、生活制限も出ることがあります。

    人工膝関節置換術の適応

    • 適応変形性膝関節症の末期。関節軟骨がほぼ消失し、激しい痛みや歩行困難な状態
    • 状態・ケガ:O脚や著しい骨変形、正座や階段昇降・歩行が大きく障害されている
    • ポイント:痛みや機能障害を根本的に改善することが目的。高齢者が対象となることが多い
    • 患者像:70代以上・日常生活が制限されている・保存療法や他手術で改善しない

    術後のリハビリと日常生活

    術後は、すぐに元どおりではなくリハビリ期間を経て、徐々に日常生活へ復帰していきます。リハビリの進み具合は、年齢・筋力・体重・手術前の状態により個人差が生じます。

    術後のポイントとしては

    • ひざの負担をなるべく減らした生活を心がける
    • なるべく和式生活から洋式生活に変更する
    • 椅子・テーブル、ベッドの使用や、負担の少ない靴選びが大切

    保存療法が第一選択

    繰り返しになりますが、手術はあくまで最終手段です。ヒアルロン酸注射や薬物治療、運動療法などの保存的治療を十分に行い、その効果が得られない場合のみ医師とよく相談して手術を検討しましょう。

    当院(一会整骨院)では、膝の患者さん一人ひとりの状態や症状に合わせて、保存療法を中心とした多角的な施術を行っています。手術に至る前段階で症状を緩和し、日常生活の質を高めることを目標としています。

    問診・評価

    • 痛みの部位や重症度、動作時の違和感、過去のけが歴を丁寧にヒアリング
    • 可動域や筋力、歩行バランスのチェックなど客観的な身体評価

    物理療法

    • 超音波治療や低周波治療器などを用いて膝関節周囲の筋肉や靭帯の血流改善・鎮痛効果をサポート

    手技療法

    • 筋緊張や関節の動きを丁寧に緩める手技療法(マッサージ、ストレッチ等)
    • 膝関節だけでなく、足首、股関節、猫背矯正などお体全体の歪みを正していきます
    • 必要に応じて軽い矯正・モビライゼーション

    運動療法・リハビリ

    • 膝周囲筋の強化(大腿四頭筋・内転筋など)と関節の安定性向上を目的にした個別運動指導
    • 日常生活動作のアドバイスや歩き方の再教育
    • 自宅でできるセルフケア(体操やストレッチ)の紹介

    テーピング・サポーター

    • 膝への負担軽減と動作補助のために適切なテーピングやサポーターの提案・装着指導

    生活指導

    • 症状悪化を防ぐための生活動作の見直しや体重管理
    • 過度な負荷を避けるためのアドバイスや相談対応

    当院は、患者さんが安心して治療を継続できるよう、医学的根拠に基づいた保存的治療を重視し、必要があれば整形外科との連携も行います。

    まとめ

    • 手術の入院期間は、関節鏡は1週間、骨切り術は4週間、人工関節置換術は2週間~2カ月が目安。
    • リハビリ期間は手術ごとに異なり、脛骨骨切り術3カ月、人工膝関節1~3カ月が一般的。
    • 手術は最終手段であり、まずは保存療法が重要です。

    患者さん自身が納得したうえで、医師とよく相談して最適な治療法を選択しましょう。

    膝の施術はこちらをクリック

    【参考文献:日本整形外科学会変形性膝関節症