膝の内部がズーンと痛む、立ち上がりで痛む…その正体は「膝蓋下脂肪体」|鵞足炎との見分け方

    立ち上がる時に膝が痛い、座っていると膝の奥がズーンと重い方へ|膝蓋下脂肪体の痛みと鵞足炎の見分け方|横須賀市 一会整骨院
    横須賀市 一会整骨院 コラム

    立ち上がる時だけ膝が痛い、座っていると膝の奥がズーンと重い
    その正体は「膝蓋下脂肪体」かもしれません

    椅子から立ち上がろうとした瞬間、膝のお皿の下あたりにズキッとした痛みが走る。けれど数歩歩いているうちに、その痛みが嘘のように和らいでいく。また、デスクワークや車の運転などで長時間座り続けていると、膝の内部がじんわりとズーンと重くなってくる。こうした症状でお悩みの方は、膝の中でクッションの役割を果たしている「膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)」という組織に負担がかかっているサインである可能性があります。

    動き始めに痛み、動いていると楽になる、という不思議な痛み方

    一般的に「膝が痛い」というと、動けば動くほど痛みが強くなっていくイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。ところが膝蓋下脂肪体に由来する痛みは、これとは少し違った特徴を持っています。じっと座っていた姿勢から立ち上がる瞬間、あるいは朝起きて最初の一歩を踏み出す瞬間にズキッと痛み、そこから歩き始めて数分もすると痛みが和らいでいく。この「動き始め痛」と呼ばれるパターンは、関節内の組織が硬く縮こまった状態から、動くことで血流が促され、滑らかさを取り戻していく過程で起こると考えられています。

    また、長時間同じ姿勢で座り続けていると、膝の中に重だるいズーンとした痛みが溜まってくるという訴えも非常に多く聞かれます。これは膝を軽く曲げた状態を長く保つことで、脂肪体が周囲の骨や腱の間で圧迫され続け、うっ血のような状態になってしまうために起こる痛みです。

    膝蓋下脂肪体とは、そしてその役割について

    膝蓋下脂肪体は、膝のお皿(膝蓋骨)のすぐ下、膝蓋腱の裏側に位置する脂肪組織で、専門的にはハファ脂肪体(Hoffa’s fat pad)とも呼ばれます。名前に「脂肪」とついているため、体脂肪のように余分なもの、というイメージを持たれがちですが、実際にはこの脂肪体は膝関節が正常に機能するために欠かせない、非常に重要な役割を担っています。

    第一の役割はクッション機能です。膝を曲げ伸ばしする際、骨と骨、あるいは腱と骨がこすれ合わないよう、脂肪体が緩衝材として間に入り込み、衝撃を吸収しています。第二に、潤滑機能があります。脂肪体は関節液の循環を助け、膝蓋腱や関節包が滑らかに動くための土台となっています。そして第三に、豊富な血管と神経が通っているため、膝関節周囲の組織に栄養を届ける役割も果たしています。裏を返せば、神経が豊富に分布しているからこそ、この組織が炎症を起こしたり線維化して硬くなったりすると、強い痛みとして感じられやすいという特徴があるのです。

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    膝蓋腱の裏側、大腿骨と脛骨の間に収まる膝蓋下脂肪体の位置関係(模式図)

    なぜ脂肪体は硬くなり、痛みを出すようになるのか

    本来しなやかで柔らかいはずの脂肪体ですが、膝を完全に伸ばしきる動作の繰り返しや、逆に膝を軽く曲げた姿勢を長時間続けることによって、脂肪体が骨や腱の間に挟み込まれる状態(インピンジメント)が繰り返し起こると、組織が炎症を起こし、次第に浮腫んで厚みを増していきます。この状態が続くと脂肪体は柔軟性を失って線維化し、さらに挟み込まれやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。デスクワークが中心の方、正座や横座りの習慣がある方、あるいは膝をまっすぐ伸ばしきるクセのある歩き方をされている方に、この症状が出やすい傾向があります。

    来院された方の一例

    デスクワークで一日中座り仕事をされている40代の方が、「立ち上がる瞬間だけ膝のお皿の下がズキッとして、少し歩くと楽になる」と来院されました。膝を完全に伸ばした状態と深く曲げた状態の両方で膝蓋腱の際に圧痛があり、腫れや熱感は目立たないことから膝蓋下脂肪体の炎症が考えられるケースでした。骨盤の後傾や大腿四頭筋の柔軟性低下が座位姿勢の癖として関わっていたため、局所だけでなく骨盤と股関節周囲の調整もあわせて行っています。

    間違えやすい「鵞足炎」との違い

    膝の内側から前面にかけての痛みを訴えて来院される方の中には、膝蓋下脂肪体の炎症ではなく「鵞足炎(がそくえん)」が原因となっているケースも少なくありません。鵞足とは、膝の内側やや下方に、縫工筋・薄筋・半腱様筋という三つの筋肉の腱が鳥の足のように集まって付着している部分の呼称で、この部分の腱と骨の間にある滑液包が炎症を起こした状態を鵞足炎と呼びます。同じ膝の痛みでも、脂肪体由来の痛みと鵞足炎とでは、痛みの感じ方や誘発される動作に明確な違いがあります。

    比較項目膝蓋下脂肪体の痛み鵞足炎
    痛みの場所膝のお皿の下から膝の奥にかけて、範囲があいまい膝の内側やや下方、指で押せる一点に集中
    痛みの質鈍く重だるい、奥から響くようなズーンとした痛みズキッとした鋭い痛み、押すとはっきり響く
    誘発される場面立ち上がる瞬間、膝を完全に伸ばした時、長時間座った後階段の昇り降り、膝を捻る動作、走る・蹴る動作
    圧痛点膝蓋腱の両脇を押すと奥に鈍い痛み脛骨内側の腱付着部にピンポイントの圧痛
    関連しやすい要因座位姿勢の癖、膝の伸展方向への負担O脚傾向、内転筋や膝内側の使い過ぎ、ランニングなど反復動作

    簡単に言えば、脂肪体の痛みは「膝の中の奥深いところが、動き始めにジワッと痛む」感覚であるのに対し、鵞足炎は「膝の内側の決まった一点が、特定の動作でピリッと痛む」感覚に近いといえます。ただし実際には両者が併発しているケースや、姿勢や歩き方の癖が共通の原因になっている場合も多く、ご自身での判断だけでは見誤ってしまうことも珍しくありません。

    一会整骨院での考え方

    当院では、膝の痛みを膝そのものだけの問題として捉えるのではなく、骨盤の傾きや股関節の動き、大腿四頭筋やハムストリングスの柔軟性といった全身のバランスの中で膝にどのような負担がかかっているかを確認しながら施術を行っています。脂肪体への負担は、座り姿勢での骨盤後傾や、歩行時に膝を伸ばしきるクセと関連していることが多いため、局所の炎症を落ち着かせるアプローチと並行して、姿勢や動作の癖そのものを整えていくことを大切にしています。

    よくある質問

    立ち上がる瞬間だけ膝が痛み、歩き出すと楽になるのはなぜですか?

    膝蓋下脂肪体という膝のお皿の下にある柔らかい組織が硬くなったり炎症を起こしたりしていると、座位から立ち上がる際に脂肪体が挟み込まれて痛みが出やすくなります。歩き始めて関節が動き出すと血流が促され、挟み込みも緩和されるため楽に感じることが多いです。

    膝蓋下脂肪体の痛みと鵞足炎はどう見分ければよいですか?

    脂肪体の痛みは膝のお皿の下から奥にかけて感じる鈍く重だるい痛みで、長時間の同一姿勢や完全に伸ばした際に強まる傾向があります。一方、鵞足炎は膝の内側やや下方に痛みの場所がはっきりしており、押すとピンポイントで痛む圧痛点があるのが特徴で、階段の昇り降りや膝を捻る動作で鋭い痛みが出やすい違いがあります。

    一会整骨院 院長
    一会整骨院 院長
    柔道整復師
    自身も側弯症・腰椎分離症を経験し、体の一部だけでなく全身のつながりを診る施術を大切にしています。

    膝の痛みでお悩みの方へ

    「立ち上がる時だけ痛む」「座っていると膝の奥が重い」など、原因のわかりにくい膝の痛みも、全身のバランスから丁寧に確認いたします。当院は予約優先制となっております。

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