股関節だけ治療しても、股関節・鼠径部の痛みはよくならない/横須賀市一会整骨院

    RUNNING & GROIN PAIN

    走ると股関節(鼠径部)が痛むのは、
    股関節だけの問題ではありません

    部活やランニングで繰り返す鼠径部痛・グローインペインの本当の原因

    院長 杉田友康

    この記事を書いた人

    一会整骨院 院長 杉田 友康

    柔道整復師/横須賀市根岸町

    部活動やランニングを始めると鼠径部(そけいぶ)に鋭い痛みが出る。ジョギングの距離を伸ばそうとすると、決まって股関節の付け根がズキッとする。そんなお悩みで来院される方が、当院には数多くいらっしゃいます。

    整形外科や他の整骨院を受診すると「グローインペイン症候群ですね」「股関節周囲炎です」と診断され、股関節まわりのストレッチやマッサージ、電気治療を続けてきた方も多いのではないでしょうか。それでも痛みが取れない、走り出すとまたぶり返す。そんな経験をされてきた方に、今日はお伝えしたいことがあります。

    それは、股関節の痛みは、股関節そのものだけを診ていても根本的には改善しない、ということです。

    なぜ股関節だけ治療しても良くならないのか

    股関節は、骨盤と大腿骨をつなぐ「ボールジョイント」のような関節です。ここだけを見ると単純な構造に思えますが、実際には骨盤全体の傾き、背骨の動き、足の運び方まで含めた「全身の連動」の中で働いています。

    例えるなら、股関節は自転車のチェーンとペダルをつなぐギアのようなものです。ペダル(股関節)の動きがおかしいとき、ギアそのものが壊れているとは限りません。チェーン全体の張り具合や、前後のギアの噛み合わせがずれていることの方が多いのです。股関節だけを油さし(マッサージや電気治療)しても、根本のズレが残っていれば、痛みはまた戻ってきてしまいます。

    当院では、走ると股関節が痛む患者さんを診るとき、必ず2つの場所を確認します。それが「仙腸関節(せんちょうかんせつ)」と「猫背(胸腰椎移行部)」です。

    仙腸関節が股関節に与える影響

    仙腸関節は、骨盤の中央にある仙骨と、左右の腸骨をつなぐ関節です。可動域はわずか数ミリ程度しかありませんが、この小さな動きが骨盤全体の安定性を支えています。

    ランニングのように片足ずつ地面に体重を乗せる動作では、仙腸関節が左右交互にわずかに動き、衝撃を吸収しながら骨盤の傾きを調整しています。ところが仙腸関節の動きが硬くなったり、左右でアンバランスになったりすると、骨盤が本来の角度で安定できなくなります。

    その結果どうなるか。骨盤が不安定なまま股関節を大きく動かそうとするため、股関節の前面、つまり鼠径部に余計な負担が集中するのです。土台がぐらつく家で、ドアの建付けだけを何度直しても、また歪んでしまうのと同じ構造です。仙腸関節という「土台」を整えずに股関節という「ドア」だけを治療しても、痛みが繰り返されてしまうのはこのためです。

    猫背・胸腰椎移行部・腰方形筋が股関節に与える影響

    もう一つ見落とされがちなのが、背中の上の方、特に「胸腰椎移行部(きょうようついいこうぶ)」と呼ばれる、肋骨の下端あたりにある背骨の領域です。ここは胸椎(背中の硬い骨)と腰椎(腰の柔らかく動く骨)の切り替わるポイントで、走るときの上半身のひねりや反りを生み出す重要な場所です。

    部活動やデスクワークで猫背の姿勢が続くと、この胸腰椎移行部の動きが硬くなります。すると本来ここで生まれるはずの「ひねりの力」が出せなくなり、その分の負担が下にある腰や骨盤、股関節へと押し付けられてしまいます。

    さらに猫背の姿勢は、骨盤の両脇にある「腰方形筋(ようほうけいきん)」という筋肉の緊張も強めます。腰方形筋は骨盤と肋骨をつなぐ筋肉で、ここが硬くなると骨盤の高さが左右で傾き、片側の股関節に体重が偏って乗りやすくなります。実際、片側だけ鼠径部が痛む患者さんの多くに、左右どちらかの腰方形筋の過緊張がみられます。

    つまり、猫背という一見股関節とは関係なさそうな姿勢の崩れが、胸腰椎移行部の動きの制限と腰方形筋の緊張を通じて、確実に股関節の痛みへとつながっているのです。

    さらに、胸腰椎移行部が重要なのは筋肉や関節の問題だけではありません。ここには「神経」という、もう一つ見逃せない理由があります。股関節の前面や内ももの感覚・運動を支配する大腿神経(だいたいしんけい)は、上部腰椎(腰椎の1番〜4番)から枝分かれして始まり、骨盤の中を通って鼠径部・下腹部・内転筋(内ももの筋肉)へと走行しています。

    つまり大腿神経の「出発点」は、まさに猫背によって動きが硬くなりやすい上部腰椎・胸腰椎移行部のすぐ近くなのです。この部分の動きが悪くなり周囲の筋肉が緊張すると、そこを通る大腿神経が圧迫・牽引されやすくなり、鼠径部や下腹部、内ももにかけて痛みやつっぱり感、しびれのような症状が出ることがあります。電気のコードの根元が踏まれていれば、コードの先(鼠径部・内もも)の動きがおかしくなるのと同じ理屈です。股関節そのものに明らかな炎症がないのに痛みが続く場合、この神経的な要因が隠れていることは少なくありません。だからこそ胸腰椎移行部は、筋肉・関節だけでなく神経の通り道としても、治療上とても重要なポイントになります。

    股関節の痛みに関わる3つのポイント(背面イメージ)

    1 2 3

    1 仙腸関節 骨盤の土台。ここが不安定だと股関節前面に負担が集中する

    2 胸腰椎移行部 猫背の影響を受けやすく、大腿神経の起始部でもある

    3 大腿神経の走行 胸腰椎移行部から鼠径部・内転筋へと伸びる神経のルート

    ※ 体の構造を分かりやすくお伝えするための簡易イメージ図です

    「腸腰筋が原因」と言われた方へ ― 見落とされがちな本当のつながり

    他の整骨院で「腸腰筋(ちょうようきん)が原因です」と言われ、股関節の前側やお腹まわりばかりを治療されてきた方も少なくありません。腸腰筋は確かに股関節を曲げる重要な筋肉で、グローインペインに深く関わっています。ここまでは間違いではありません。

    ただし、見落とされがちな事実があります。腸腰筋を構成する大腰筋(だいようきん)は、股関節の前側から始まっているのではなく、横隔膜(おうかくまく)のすぐ下、そして上部腰椎(じょうぶようつい、腰椎の一番上のあたり)から始まっているということです。

    つまり腸腰筋の「根っこ」は、お腹や股関節の前面ではなく、もっと上、胸腰椎のあたりにあるのです。木で例えるなら、葉っぱ(股関節前面の痛み)だけを摘んでも、根っこ(胸腰椎)に問題が残っていれば、また同じところに葉が茂ってきてしまいます。

    当院で腸腰筋に関わる股関節痛を診るときは、股関節前面やお腹のアプローチだけで終わらせることはありません。腸腰筋が実際に付着している胸腰椎の動き、そしてその上にある横隔膜の柔軟性まで含めて評価し、必要なアプローチを行います。ここまで診て初めて、腸腰筋由来の股関節痛は根本から改善に向かいます。

    当院の治療方針

    走ると股関節が痛む患者さんに対して、当院では次の3つを必ずセットで確認・治療します。

    • 仙腸関節 骨盤の土台としての安定性を整える
    • 猫背・胸腰椎移行部 上半身のひねりの動きを取り戻し、腰方形筋の緊張を緩める
    • 腸腰筋の付着部(横隔膜・上部腰椎) 股関節前面だけでなく、筋肉の根本からアプローチする

    股関節周囲だけをいくら丁寧に治療しても、これらの土台が整っていなければ、痛みは形を変えて何度も戻ってきます。「色々な場所に通ったけれど良くならなかった」という方こそ、一度全身のつながりを診させてください。

    部活動を思い切り楽しみたい学生さんも、ランニングを長く続けたい大人の方も、痛みの本当の原因を見極めることが、遠回りのようで一番の近道です。

    走ると股関節が痛む方は、お早めにご相談ください

    予約優先制となっております

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    一会整骨院|神奈川県横須賀市根岸町5-21-38 奥山ビル1F右

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