ゴルフ肩の原因と治療方法

ゴルフ肩の原因と治し方

ゴルフをプレイする際、肩に過度の負担がかかることで様々な症状が引き起こされることがあります。

これらの症状を総称して「ゴルフ肩」と呼ぶことがあります。ゴルフ肩で多く見られる症状には、主に腱板損傷、肩インピンジメント症候群、上腕二頭筋長頭腱炎の3つがあります。

腱板損傷

腱板損傷は、肩関節のインナーマッスルと呼ばれる4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)が損傷することで起こります。この損傷は、急激な肩への負荷による外傷性のもの、加齢により徐々に腱板がすり減ることによる変性断裂、または軽微な外傷が加わって起こるものがあります。

肩インピンジメント症候群

肩インピンジメント症候群は、肩を上げる動作の際に上腕骨と肩峰の間に腱板や肩峰下滑液包が挟み込まれることで生じます。この症候群では、肩に痛みが生じたり、可動域が制限されたりします。

上腕二頭筋長頭腱炎

上腕二頭筋長頭腱炎は、いわゆる「力こぶの筋肉」の腱の部分が影響を受ける症状です。この腱は上腕骨の結節間溝を通り、肘を曲げる機能だけでなく、上腕骨の安定性にも寄与しています。ゴルフのスイングのような、肩関節を大きく動かす動作を繰り返すことで炎症を起こすことがあります。

これらの症状は、ゴルフのみならず野球やテニスなど、肩に負担のかかるスポーツ全般で見られることがあります。適切なフォームの維持やケア、そして過度の使用を避けることが予防には重要です。

ゴルフ肩の原因とは?

不良なスイング動作の繰り返しや無理やりなスイングで発生します。

肩関節が負担なく動くためには、手首の柔軟性や肩甲骨の可動域、背骨、股関節の可動性と体幹の安定性が大切になります。

多くの患者さんが一度のスイングで負傷するより、繰り返しのスイング動作で徐々に悪くなっている方が多いです。

ゴルフ肩はどんな症状があらわれる?

ゴルフ肩の症状は、その原因となる障害によって様々です。主に腱板損傷、肩インピンジメント症候群、上腕二頭筋長頭腱炎の3つの症状が見られます。

腱板損傷の場合、特に棘上筋と棘下筋の損傷が多く見られます。棘上筋損傷では、肘を伸ばし親指を上にして腕を外側に上げる際に、肩上部または上腕骨前面に痛みを感じます。

一方、棘下筋損傷の場合は、肘を伸ばし親指を下にした状態で腕を外側に上げる際に、肩後面または上腕骨全面に痛みが生じます。

日常生活では、着替えの際に痛みを感じたり、背中に手が回らなくなったり、就寝時にも痛みが出ることがあります。

症状が重度の場合、腱板が完全に断裂すると、腕を90度に上げた状態で保持できなくなる「ドロップアーム現象」が起こることもあります。

肩インピンジメント症候群の場合、最も特徴的な症状は、肩を上げる途中で痛みを感じるものの、完全に上げきってしまえば痛みが和らぐというものです。症状が悪化すると、夜間に肩がズキズキと痛むこともあり、最悪の場合は腱板断裂に至る可能性もあります。

上腕二頭筋長頭腱炎では、肘を伸ばした状態で物を持ち上げる時や力こぶを作る動作で痛みが生じます。また、後ろに手を回す時に肩関節前面から上腕二頭筋にかけて痛みを感じることがあります。

ゴルフ肩のセルフチェック

ゴルフ肩の可能性を自分で確認するセルフチェック方法もあります。

肩関節の挙上(腕を上に上げる)、外転(腕を横に広げる)、そして結帯動作(エプロンの紐を結ぶような動きや髪を結ぶような動き)を行い、これらの動作で肩関節に痛みや可動域の制限がないかを確認します。

これらの動作で違和感がある場合、腱板損傷、肩インピンジメント症候群、上腕二頭筋長頭腱炎の可能性があります。

ゴルフ肩を放置すると?

肩関節の可動域の制限や、変形によりいままでのようなプレーが困難となります。

最悪、腱板の完全断裂や骨棘の形成で、手術での治療以外に改善の見込みがない状態まで悪化する恐れがあります。

例え痛みが小さい場合であっても、通常とは異なる違和感や痛みを感じた場合は専門家の診察を受けることをおすすめします。

ゴルフ肩の予防方法

当院では不良なゴルフスイング動作の繰り返しが原因であると考えています。

正しいスイング動作をする為に、股関節や背骨の柔軟性や体幹の安定が重要です。

腱板損傷や肩関節インピンジメントに対しての腱板トレーニングも有効ですので、治療の際にお伝えしてご自宅でも行うよう指導しています。

保険を使って治療することはできますか?

はい。ゴルフ肩は保険適用となります。

来院時、健康保険証をお持ちください。

痛みがひどい場合は冷やすべきですか?温めるべきですか?

痛みがひどく炎症を伴っている急性期(腫れがある、熱感がある)は冷やして下さい。