顎関節症の原因・症状・治療方法について

顎関節症は、顎の関節や顎を動かす咀嚼筋に異常が起こり、「顎が痛い」、「口が開きにくい」、「音がする」、あるいは「ものが噛みにくい」といった症状の総称です。

こめかみや耳の奥が痛いと訴える患者さんもいらっしゃいます。

顎関節症は大きく4つに分類されます。

タイプ症状名内容
1型咀嚼筋障害・噛む筋肉または筋膜の痛み
・左右片側の痛みが多い
2型顎関節痛障害顎関節自体を痛めている(捻挫)状態
3型顎関節の円板障害関節円板が顎関節をスムーズ動かしてくれますが、関節円板の変形や滑走が悪く顎関節の動きを悪くしている状態
4型変形性顎関節症顎関節自体の変形で比較的珍しい

症状の程度は人によりますが、6~7人に1人は顎関節症があると言われています

顎関節症の症状

口を開けると痛む、口が開かない(縦に自分の指3本が入らない)、あごで音がする(関節雑音)、こめかみや耳の奥が痛いといった症状が現れます。

また咀嚼筋の緊張から頭痛、首の痛みを訴える方もみられます。

  • 口を開けた時に縦に2本、指が入らない
  • 開口時に痛みが伴い食事をまともにとれない

このような場合は重症度が高いため、早急に治療を行うことをおすすめします。

顎関節症のメカニズム

咀嚼時や開口時に筋肉や筋膜が硬くなり、痛みが出現するケース(筋膜性口腔顔面痛)や関節の炎症や関節円板の滑走性が悪くなり、痛みが出現します(関節障害、関節円板障害)

顎関節症の原因とは?

従来は顎関節症の原因は噛み合わせの異常と考えられていました。

最近では食べ物の変化やコロナ禍の影響で顎を使うことが少なくなった事により、顎関節に関わる筋膜の硬化と血行不良が原因と言われています。

また日中、睡眠中のくいしばりも影響しています。

あごに痛みや違和感がある、口が開きにくくなった、あごだけでなく、こめかみや首筋も痛い、あごから音がする、このような症状に8割は筋膜性口腔顔面痛と呼ばれ、筋膜性の痛みと最近は言われています。

どんな人がなりやすいですか?

顎関節や顎の筋肉の構造的弱さや、片側だけでの噛み癖、歯ぎしりやうつ伏せでの睡眠姿勢、ストレートネックも原因に挙げられています。

緊張や不安、気分の落ち込みのような精神的な要因、コンタクトスポーツやスキューバダイビング、吹奏楽器の演奏も原因として考えられています。

顎関節症の治し方【当院のアプローチ】

顎関節の矯正や咀嚼筋のマッサージやセルフエクササイズの指導は当然行っています。

それだけでなく、姿勢の改善のために骨盤矯正や背骨の矯正も行っています。

近年では、顎関節症の8割は筋膜性であると報告され、マウスピースでの安静より積極的に動かしていく施術が推奨されています。

治療期間はどれくらい必要ですか?

1型の筋膜性の痛みであれば2~3か月で完治が期待できますが、関節や関節円板の場合、完治は難しいです。

しかし、症状を緩和し進行を防ぐことは出来ます。

その為、治療期間を提示することは出来ません。日々のケアやお体のメンテナンスがとても大切です。

当院ではケア、メンテナンスとして2週間に1回の頻度のお越し頂き、その間にセルフエクササイズをお伝えし実践してもらっています。

まずは病院にいくべきでしょうか?

まず歯科を受診して、顎関節症の何型なのかを判別してもらうことをおすすめします。

顎関節に変形があり、外科的な処置が必要だと判断されたら口腔外科の領域となると思います。

よく頂くご質問

治療に保険は使えますか?

顎関節症は慢性的な症状になりますので、整骨院での保険診療は出来かねます。

しかし、あくびをした時に顎を痛めた、コンタクトスポーツなど顎関節を負傷した理由がありましたら、顎関節捻挫として保険適用となります。

※保険適用では、全身を調整する事はなく、顎関節の捻挫としての保険対応となります。

歯医者や病院と並行して治療を行うことは可能でしょうか?

はい、可能です。実際、当院に顎関節症で来院されている患者さんの多くが歯科と併用して治療を受けています。

よくある例として、歯科でマウスピースを処方してもらい、当院で施術を受ける方が多いです。

絶対にやってはいけないことはありますか?

痛いからといって自宅での体操をサボってしまう。

または痛みを我慢して乱暴に動かす事はかえって顎関節症を悪化させてしまう恐れがあります。

適切なケアや体操を継続することが顎関節症の治療ではとても大切です。

また歯科の許可なしに夜間のマウスピースを外してしまうこともやってはいけません。